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2020年東京オリンピックを前に市民団体が人権侵害、熱帯林破壊、違法伐採のリスクをIOCに警告

2016-12-07 14:31:49

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 国際NGOのGreenpeaceやFOEなどの44団体は、2020年の東京オリンピックの新国立競技場や他の会場に予定される施設の建設に、違法で持続不可能な熱帯雨林木材が使われる可能性が高いと警告する書簡を、スイス・ローザンヌで冬季理事会開催中の国際オリンピック委員会(IOC)に提出した。

 

 NGOらが問題視しているのは、日本は世界最大の熱帯合板の輸入国で、その多くがマレーシアやインドネシアの森林から供給されている点だ。特に日本の輸入合板のほぼ半分を供給するマレーシア・サラワク州では、森林減少のペースが世界でもっとも早い地域の一つとされ、違法伐採の発生率が極めて高い。

 

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    ある調査によれば、新国立競技場の施工を担当する大成建設が使用している合板は、破壊的な伐採活動のために世界でもっとも急速に森林減少が進むサラワク州の生物多様性ホットスポットとの関わりがあるという。Sarawak Dayak Iban Associationのニコラス・ムジャ氏は「サラワクの伐採会社は、私たちの森を破壊し、飲み水を汚染した。私たちの先住民族としての権利を侵害し、生計を奪った」と指摘している。

 

 サラワクの先住民族コミュニティは、先祖伝来の土地を守るため何十年もの間、伐採会社と闘ってきており、死者が出ることもあった。 NGO FoE Japanの三柴淳一氏は   「東京オリンピックの大会関係者は、先住民族の権利侵害、違法伐採、熱帯林破壊に関係する木材の使用を避けるために十分な対策をとっていない」と指摘する。「東京オリンピックの会場建設に違法で持続不可能な木材を使うことになれば、持続可能性を堅持するとのオリンピックの誓約に反し、とんでもないレガシーが残されることになる」と危惧する。

 

 東京オリンピックの企業スポンサー数は過去最高となっている。だが、違法で持続不可能な熱帯雨林木材が関連施設に使われるようだと、スポンサー企業は逆にレピュテーション・リスクを抱える可能性もある。

 

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  Rainforest Action Network(RAN)のハナ・ハイネケン氏は「森林減少ゼロに取り組む企業や政府が増えている時に、違法伐採リスクを抱えることは大きな後退になる。IOCとスポンサー企業は東京オリンピック関係者に対し、オリンピック会場建設に使われるすべての木材が合法で持続可能な供給地から、地域コミュニティの自由意思による事前の十分な情報に基づく同意(FPIC)を尊重した上で供給されるよう対策をとるべきだ」と指摘している。

 

 さらに、追加の予防措置やデューデリジェンス対策がとられなければ、生物多様性や気候変動、そして森林への正当な権利をもち森林に依存して暮らす地域コミュニティに深刻な影響を与えかねないと警鐘を鳴らしている。


 
 12月4日に開催された専門家による会合において、小池百合子東京都知事はこの問題に対して認識をしており、「発注者として声をあげていく」と発言している。

http://www.foejapan.org/forest/library/pdf/161206_pr_ngoletterIOC_jp.pdf

http://www.foejapan.org/forest/library/161206.html