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生物多様性条約締約国会議(COP13) 日本などに名古屋議定書への早期締結を強く要請して閉幕(各紙)

2016-12-21 00:56:11

COP131キャプチャ

 

 メキシコのカンクンで開いていた生物多様性条約第13回締約国会議(COP13)は18日、生物多様性保全目標を、国連の持続可能な発展目標(SDGs)や、気候変動のパリ協定などのグローバルアジェンダとの連携を加速させ、高める行動をとることで合意した。また日本を含む名古屋議定書の未締結国に早期の締結を求めることなどを決議し、閉幕した。

 

 カンクンでのCOP13には世界167カ国の代表が参加した。今月3日(現地時間)には、閣僚級会合が開かれ、農林水産業や観光業で生物多様性に配慮した取り組みを求める「カンクン宣言」を採択した。宣言では、農業を営む際には生物多様性への影響を評価することや、観光を生物多様性への認識を深めるきっかけとすることなどを提案している。

 

 これまで生物多様性保全のために、2010年に日本の名古屋市で開催したCOP10で、生物多様性条約の3つの目的である①生物多様性の保全②生物多様性の構成要素の持続可能な利用③遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分、を達成する「戦略計画2011-2020」を定めている。

 

 COP10では、特に生物多様性の損失を止めるために「愛知目標」として20の個別目標を定めたほか、生物多様性条約の重要な目的の一つである「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS:Access and Benefit-Sharing)」に関する名古屋議定書を採択している。

 

 今回のCOP13でも、愛知目標の実現を決議した。名古屋議定書に関しては、日本が同議定書決定時の開催国で、地球温暖化対応での初の国際枠組みとなった京都議定書と同様に、生物多様性のCOP13でも議定書に「名古屋」の名を冠せられている。

 

 ところが、日本政府内では、環境省が他官庁と国内調整作業を続けているが、いまだ結論に至っていない。医薬品業界など産業界の意向がネックになっているとされる。このため、日本は「議定書未締結国」の“汚名”を着たままとなっている。

 

 環境省は、議定書の国内措置について、有識者会議を設置して議論を進めてきたが、成果が出ていない。議定書は2014年に発効し、現在、93の国や地域が締結している。

 

  日本はこれまで、議定書の早期締結と、2015年までに議定書で定める対策を実施する法整備などの国内措置をとることを、政府の生物多様性国家戦略に盛り込んでいる。にもかかわらず、議定書は今も未締結のままだ。

 

 COP13の決議は、名古屋議定書を締結していない国々に対して、可能な限り早く締結し、国内措置の整備を進めるよう求めた。また、2020年までに国際社会が達成するべき20の行動「愛知目標」の取り組みの強化を各国に求めることも盛り込んだ。

https://www.cbd.int/doc/press/2016/pr-2016-12-18-un-bidov-conf-en.pdf