HOME12.その他 |ミャンマーの少数民族ロヒンギャ弾圧問題で、ノーベル平和賞受賞者ら23人が、スー・チー女史を「民族浄化を推進している」と批判。国連に署名提出(RIEF) |

ミャンマーの少数民族ロヒンギャ弾圧問題で、ノーベル平和賞受賞者ら23人が、スー・チー女史を「民族浄化を推進している」と批判。国連に署名提出(RIEF)

2017-01-02 21:52:06

Rohingya2キャプチャ

 

 ミャンマー西部でイスラム教徒少数民族ロヒンギャが迫害されている問題で、ノーベル平和賞受賞者ら23人が、同国の実質権限を持つアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相を「民族浄化を進めている」と批判する共同書簡を、国連安全保障理事会に送付した。書簡は同理事会でロヒンギャ問題を取り上げるよう求めている。

 

 安保理外交筋が明らかにした。共同書簡には南アフリカのツツ元大主教、パキスタン出身のマララ・ユスフザイさん、イランの人権活動家シリン・エバディさんらノーベル平和賞の受賞者11人が署名したほか、国際的な人権活動家たちも名を連ねた。

 

 スー・チーさんも1991年にノーベル平和賞を受賞している。マレーシアのナジブ首相は「ノーベル平和賞を受賞しているスー・チーさんは、この問題を何故解決しないのか?ミャンマー政府は武力による鎮圧だけで、根本的な解決は何ら行っていない」と批判している。

 

AungSunSuキャプチャ

 

 少数民族のロヒンギャ族は、主にバングラデシュとの国境沿いのラカイン州に住んでいる。約100万人とされる。ロヒンギャ族は、仏教徒の中でも過激な思考を持つ仏教過激派やミャンマー国軍との間で紛争を起こしてきた。2012年の衝突で、約12万人が難民化し、強制収容所に収容されているという。

 

 ただ、ミャンマーが軍事政権下の時代は、少数民族問題を重要課題とみなした政権が、問題を拡大させないため、強硬的な姿勢で対立する仏教徒などの関係者を抑制していた。

 

 しかし、スー・チーさんが率いる国民民主連盟(NLD)に政権が移った後は、軍事的な抑制が無くなった。このため、ロヒンギャ族を巡る武力衝突が再三にわたって起き、ロヒンギャ族への虐待が急増しているという。

 

 国連でも問題を重視し、前国連事務総長のコフィ・アナン氏がスー・チーさんの要請を受けて調停のために現地入りした。だが、NLDの協力を得られなかったこともあり、問題の解決に至っていない。

 

 共同書簡は「スーチーさんはロヒンギャの人々の人権を公平に扱っていない」と非難。「事態は、これまでの人権無視の悲劇であるルワンダ、ダフール、ボスニア、コソボと同様の懸念がある」と強く糾弾している。また、アムネスティなどの人権団体やジャーナリストが支援や取材で現地に入ることも強く制限しているという。

 

 こうした危機感を踏まえて、書簡は国連がミャンマーに対してロヒンギャの救済のため人権支援を行うことを求めている。「事態は緊急を要す」と、 安保理事会の取り組みを促すとともに、新たに国連事務総長に就任したアントニオ・グテーレス氏のミャンマー訪問を優先課題として実行すべき、と要請している。

http://www.un.org/en/index.html