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東京・豊洲市場の地下水調査で、ベンゼン、基準の79倍検出。数十か所で有害物質。再調査へ(東京新聞)

2017-01-14 23:27:07

toyosuキャプチャ

 

 築地市場(東京都中央区)が移転予定の豊洲市場(江東区)で都が実施している地下水調査の最終結果で、環境基準の七十九倍のベンゼンなどの有害物質が、二百一の観測地点のうち数十カ所で検出されたことが分かった。土壌汚染対策の検討のため十四日午後に築地市場内で開かれた専門家会議で、都が公表した。

 

 基準を上回るのは、昨年九月に結果が公表された前回調査に続き二度目。ベンゼンの数値は前回の環境基準の一・一~一・四倍を大きく上回った。他の有害物質はヒ素やシアンで、検出地点も前回の三カ所から大幅に増えた。これまでの調査と比べ数値が急激に変化している地点が多いため、今回の結果は「暫定値」とし、専門家会議で対応を検討する。

 

 小池百合子知事は昨年十一月に予定されていた市場移転を延期し、その理由として地下水調査の最終結果が出ていないことを挙げていた。十四日午前には自らの政治塾での講演で豊洲問題に触れ、「かなり厳しい数字が出ていると聞いている。今日から専門家に議論していただく。食の安全こそ守るべきだ。そのためにもう少し調べてみようということになるかもしれない」と述べ、慎重に判断する姿勢を示した。

 

 調査は二〇一四年十一月から二年間の計画で行われ、十四日公表の九回目が最終となる。昨年九月に結果が出た八回目では、三カ所で環境基準の一・一~一・四倍のベンゼン、一・九倍のヒ素を検出。この際、専門家会議の平田健正(たてまさ)座長は「土壌汚染対策の実施後、汚染物質濃度が変動しながら低下していくのはよくある現象」と述べ、推移を注視する考えを示していた。

 

 小池知事はこれまで、早ければ今夏にも移転の可否を判断し、移転時期を来冬以降とする工程表を明らかにしている。十三日には本紙(東京新聞)のインタビューで「科学的に安全性を判断する」と強調していた。

 

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 豊洲市場(東京都江東区)の地下水モニタリング調査の最終結果で、有害物質のベンゼンが最大で環境基準の79倍検出されたことを受け、土壌汚染対策を検討する「専門家会議」座長の平田健正放送大和歌山学習センター所長は14日午後、記者会見し、近く再調査を実施して3月中に結果を公表する考えを示した。小池百合子知事が移転の可否を判断する時期がずれ込む可能性もある。

 

 平田座長は、4月にまとめる予定にしていた報告書が「若干遅れることになる」と述べた。

 

 都によると、201カ所を調査し、72カ所から有害物質が出た。ベンゼンは1カ所で環境基準の79倍を検出した。

 

 <築地市場の移転問題

 築地市場の施設が老朽化し手狭になったことから、東京都は2001年、江東区の豊洲地区にある東京ガス工場跡地への移転を決定。土壌から高濃度のベンゼンなどの有害物質が見つかり、都は汚染物質を除去する対策を実施し、16年11月に豊洲へ移転すると決めた。だが、土壌や空気汚染への懸念などから、小池百合子知事は移転を延期。主要建物下に土壌汚染対策の盛り土がされていなかったことも判明し、豊洲開場は最短で今年末から18年春になるとしている。