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世界の8人の富豪が、人口の半分の36億人分の総資産と同額の富を保有。格差拡大の象徴。NGOが各国政府に富裕税導入等を要請(RIEF)

2017-01-16 17:44:31

wealthキャプチャ

 

 英国の国際NGO「オックスファム(Oxfam)」は16日、スイス・ダボスで恒例の世界経済フォーラム(WEF)が開かれるのを前に、世界の富の偏在に関するレポートを公表した。それによると、世界で最も裕福な富豪8人が保有する資産総額が、世界人口のうち所得の低いほうから半分までの36億人分の総資産額と同じ規模だという。格差の拡大が世界的に広がっていることを象徴している。

 

 報告書は「An Economy for the 99 percent」と題するもの。「富者と貧者の格差は、創造を絶するほどのギャップになっている」と指摘している。8人の超富裕者は、いずれも大企業の経営者や投資家たちで、報告書は、税制の不備、賃金の低下、富者が政治に影響力を発揮していることなどが、格差拡大を助長していると批判している。

 

 富豪のトランプ氏が政治権力を握る米国の構図は、まさに批判を体言した姿だ。ただ、貧困にあえぐ米国の白人層などが富者のトランプ氏を大統領に押し上げるなどの、矛盾も起きている。

 

 8人の富豪は、米マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏、スペインのアパレル大手インディテックス創業者のアマンシオ・オルテガ氏、著名投資家のウォーレン・バフェット氏、メキシコの通信王カルロス・スリム氏、アマゾン・ドットコム創業者のジェフ・ベゾス、フェイスブックの共同創業者マーク・ザッカーバーグ氏、オラクル創業者のラリー・エリソン氏、情報サービスBloombergCEOのマイケル・ブルームバーグ氏。

 

マイケル・ブルームバーグ氏
マイケル・ブルームバーグ氏

 

 米誌フォーブス(Forbes)の世界長者番付上位にランクされている。米国人6人、スペイン人1人、メキシコ人1人。日本人の名は出ていない。オックスファムが昨年初めに公表した報告では、世界人口の半分と同額の試算を持つ富豪の数は62人だった。今回は、インドや中国などの新興国の富の配分を再計算し、算出し直したという。その結果、昨年の計算では9人に集中した形だった。

 

ラリー・エリソン氏
ラリー・エリソン氏

 

 オックスファムの代表(Exective Director)のWinnie Byanyima氏は「一日2㌦以下で生活している人が世界で10人に1人となっている中で、ほんの一握りの人にこれほどの富が集中しているというのは、気分が悪くなる。不平等は多くの人々を貧困から抜け出せなくし、社会を分断、民主主義を蝕んでいる」としている。

 

 貧者の多くは女性。職場でも低賃金に抑えられ、ケアワークには賃金が払われないケースが少なくない。現在のままだと、女性が男性と同じ賃金を払われるまでには170年かかるという。賃金上昇割合も富者と貧者では大きな差がある。1988年~2011年の23年間に、もっとも貧しい下層から10%の層の収入は、一人当たり65㌦増えた。もっとも裕福な上位1%の層の収入は、同じ期間に1万1800㌦と181倍も膨らんでいる。「富者はますます富み、貧者はますます貧しくなる」という指摘が現実化している。

 

 オックスファムは、より人間らしい経済を取り戻すために、富裕層への課税の強化のほか、多くの人を対象とした健康管理、教育、雇用等への投資を拡大する必要性を指摘している。また、各国が自国の繁栄のためだけに競争し合うより、労働者に対して適切な賃金が支払われることを確保するために協働することや、企業誘致の法人税引き下げ競争等を避けるほか、女性労働者の地位向上のため、女性の教育へのアクセス確保やケアワークへの適正支払い等の取り組みを急ぐことを求めている。

 

https://www.oxfam.org/en/pressroom/pressreleases/2017-01-16/just-8-men-own-same-wealth-half-world