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東洋ゴム またまた不正データ偽造発覚。4度目。同じ明石工場で。「不正はわが社の“文化”」というわけ(?)(各紙)

2017-02-09 01:47:23

toyogomキャプチャ

 

 免震ゴム等のデータ偽造問題を起こしてきた東洋ゴム工業が再び、船舶に使う産業用ゴム製品で、必要な検査をせず、データを偽装していたと発表した。同社は2007年に免震ゴム等の性能偽造が発覚した後、防振ゴムのデータ偽造なども相次ぎ、今度で、4回目の不正事象の公表だ。「不正はわが社の“文化”」と言うことなのか。開いた口が塞がらない。

 

 今回、不正が発覚したのは、タンカーなどの船舶の配管バルブに使う「シートリング」と呼ばれる輪状のゴム製品の検査データ。同製品は配管の内側に張り、液体の流れを止める際、弁と配管の隙間(すきま)を埋める機能がある。子会社の東洋ゴム化工品(本社・東京)の明石工場(兵庫県稲美町)で製造している。

 

 この製品検査では、製品10~5個に1個の頻度で製品の寸法や硬さを検査する手順になっていた。ところが、担当した30代の男性検査員は、検査頻度を20個に1個などと半分程度に勝手に変更、検査不足分には過去データをコピーして転記していたという。

 

 不正なデータ記載は2009年3月~2017年1月までの8年間に及び、対象となる製品数は12万9,000個に達する。ただ、同社によると、これまでに製品の不具合等の届け出はないという。また、未測定製品に他のデータを転記したもので、不合格データを合格に改竄したのではない、と説明している。

 

 検査データの不正表記は、同社が2015年12月に公表した「一連の問題に対する再発防止策」の取り組み作業によって見つかった。その意味では同社のコンプライアンス機能が一応、効いたことになる。不正を行ってきた検査員が担当した製品と、他の検査員担当の製品のデータを比較調査した結果、両データに有意の差は出なかったとしている。

 

 要するに「実害」はなかったとの弁明だ。そうだとしても、不正が何度も発覚する中で、同検査員は8年にもわたって、「手抜き検査」を続けていたわけで、職場でのチェック・牽制が全く効いていなかったことが露呈した。国土交通省は東洋ゴムに対し、原因究明や再発防止策を実施するよう指示した。

 
  東洋ゴムの「データ偽造」の歴史は目覚ましい(?)。2007年に断熱パネルの耐火性能を偽っていた問題が発覚。15年3月には建物などの免震ゴムの性能データ改竄が判明した。さらに同10月、鉄道車両などで使われる防振ゴムでも不正行為が明るみに出ており、今回が4回目だ。

 

 記者会見した小野浩一取締役常務執行役員は「信頼回復に努めている中で問題がおき、重く受け止めている」と陳謝した。「非常に忸怩(じくじ)たる思い。仕組み、ルール作りで足りないものがある。全社員に浸透するのが非常に難しいと痛感している」。

 

 「不正が文化」のように、企業体質に染みついているといえ、企業風土改革の難しさを浮き彫りにする事件だ。この間、社長2人が引責辞任している。また過去3回とも不祥事は同じ明石工場で起きている。
 

 東洋ゴムによると、免震ゴムの不正発覚を受けて、同工場のシートリングの工程に対しても、これまで複数回検査してきた。しかし、それらの検査では気付かなかったという。データ偽装をした当事者の男性検査員は「忙しくてやってしまった。面倒くさかった」と説明しているという。

 

 シートリングの検査は通常男性1人で担当しており、必要に応じて要員を補充していた。小野常務は「品質管理システムが完全に浸透していなかった」と釈明。今後は常時2人以上の体制にするという。

 

 免震ゴムのデータ改竄問題では、大阪府警が不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで捜査を続けているほか、株主代表訴訟も提起されいる。今回のシートリングの年間売上高は数億円程度で、同社の業績への直接的な影響は少ない。だが、ブランドイメージの低下は一段と進むことになる。

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