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絶滅危惧種のアフリカペンギン、人類の魚類乱獲と気候変動の進行で、若年個体が生態系の「わな」に直面、大量餓死(AFP)

2017-02-11 09:30:55

Africaキャプチャ

 

【2月10日 AFP】アフリカに生息する絶滅危惧種のペンギンの若い個体たちが、気候変動と魚の乱獲が原因で混乱して餌が探せず、大量に餓死している。

 

 米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に9日付で掲載された研究論文は、アフリカペンギン(ケープペンギン)の置かれた苦境を説明している。ナミビアと南アフリカの沿岸部の影響が最も大きい領域では、若い個体の生息数が半減すると予測されている。

 

 論文の主著者で、英エクセター大学と南アフリカ・ケープタウン大学に所属するリチャード・シャーリー(Richard Sherley)氏は「今回の研究結果はアフリカペンギンの若い個体群が、漁業と気候変動のせいで、不適切な場所での餌集めから抜け出せなくなっている状況を示している」と述べた。

 

 問題が発生するのは、若い個体が初めてコロニー(営巣地)を離れ、魚やその餌となるプランクトンのような微生物が豊富に生息する地域の兆候を求めて、海を探し回りながら長距離を移動する際だ。

 

 こうした兆候には、海面温度が低くクロロフィルaが豊富なことが含まれる。これはプランクトンが近くにおり、それを餌とするイワシやカタクチイワシも近くにいる可能性が高いことを示す。

 

「こうした兆候はかつては餌が豊富な領域を示す信頼できる手がかりとなったが、気候変動と大規模漁業のせいで、生態系内でペンギンの餌となる魚種資源が枯渇してしまった」とシャーリー氏は説明する。「今やこれらの兆候が若い個体たちを誘導する先は、アフリカペンギンが主食とする魚がほとんどいない場所の可能性がある」

 

餌場にもはや餌はいない

 

 研究チームは、繁殖地全域の8か所から新たに巣立つアフリカペンギンを追跡調査するために、人工衛星を使用した。調査の結果、アンゴラ南部から南アフリカ西ケープ(Western Cape)州のケープポイント(Cape Point)にかけて広がる領域「ベンゲラ海流大規模海洋生態系(BCLME)」の「わな」に多くのペンギンが捕らわれていることを、研究チームは発見した。

 

 BCLME領域は、数十年間にわたる魚の乱獲と環境の変化にさらされ、魚の個体数が減少している。「ペンギンはいまだにプランクトンが豊富な場所に移動しているが、そこにはもはや魚はいない」とシャーリー氏は言う。このわなに陥った若いペンギンは、餓死する場合が多い。

 

「若いペンギンの繁殖数は、人的影響がそれほど深刻でない他海域への経路を見つけた場合に予想される繁殖数を約50%下回っている」と論文は述べている。科学者らは、ペンギンの若い個体を餌がより豊富な領域に移す可能性を検討している。

 

 国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定されているアフリカペンギンは、ナミビアと南アフリカに約5万羽が残存するのみだ。絶滅に直面している主な原因は餌不足と考えられている。

 

  アフリカペンギンは「非常に急速な生息数減少に見舞われている。これは商業漁業と餌の数の変化が原因で起きている可能性が高い」とIUCNは指摘している。「この傾向には現在のところ逆転する兆しがない。個体数のさらなる減少を回避するには、緊急の保護活動が不可欠だ」

 

http://www.afpbb.com/articles/-/3117382?pid=0