HOME4.市場・運用 |京都・下賀茂神社の世界遺産「糺(ただす)の森」でのマンション建設問題。反対派住民らが、ユネスコを訪問し、世界遺産保全を直接要請(RIEF) |

京都・下賀茂神社の世界遺産「糺(ただす)の森」でのマンション建設問題。反対派住民らが、ユネスコを訪問し、世界遺産保全を直接要請(RIEF)

2017-02-14 22:13:09

tadasu3キャプチャ

 

 京都市左京区の下鴨神社の境内に広がる世界文化遺産で国史跡である「糺(ただす)の森」で、マンション建設計画が進んでいる問題で、建設に反対する住民グループ「糺の森未来の会」の代表らが13日、パリの国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部を訪問、世界遺産センターの担当者らに調査や適正化への勧告を要請した。

 

 ユネスコを訪問したのは、同会メンバーと中島晃弁護士ら5人。下賀茂神社は、境内の敷地の一部を不動産開発会社などの合同会社に、期限付きで貸し出し、3階建てマンションを建設する計画を進めている。神社はその費用を、21年に1回実施する式年遷宮等の費用に充当するという。

 

ユネスコ本部を訪問した住民団体の代表
ユネスコ本部を訪問した住民団体の代表

 

 報道によると、マンション建設のために世界遺産の「糺の森」を特徴づけるニレ科の樹木が多数、伐採された。さらに、昨年10月には奈良時代から使用されていた古馬場が、自然な土の道からアスファルト舗装され、バスレーンに改変されているという。古馬場はかつては切芝神事がなされた場所。

 

 工事は、建設主がJR西日本の子会社、JR西日本不動産開発で、設計・建設は竹中工務店となっている。

 

tadasu2キャプチャ

 

  住民たちは京都市に対して、マンション工事に対する建築確認を取り下げるよう要請した。しかし、市側が拒否したことから、京都地裁に建築確認取消訴訟を起こしている。住民らは昨年12月、ユネスコに向けて、世界遺産保全を要請する住民1万2000人の署名を送付した。今回のユネスコ訪問に合わせても、追加の約1000人分の署名を手渡した。

 

 住民代表らは、ユネスコの東アジア担当局長と面会した。ユネスコ側は「世界遺産に関する住民の声を聞くことは、ユネスコにとっても有益だ」と述べた、としている。住民らは、下賀茂神社の問題だけでなく、二条城においても、周辺の樹木を伐採して駐車場建設を進めたり、仁和寺の山門前の竹林伐採など、古都京都が急速に観光化し、世界遺産や文化財の開発が加速している現状を訴えた。