HOME12.その他 |浜松市 下水道で初のコンセッション方式導入。同市の公共下水道終末処理場の運営を民営化。フランスのヴェオリアとJFEエンジニアリング、オリックスなど6社で構成(RIEF) |

浜松市 下水道で初のコンセッション方式導入。同市の公共下水道終末処理場の運営を民営化。フランスのヴェオリアとJFEエンジニアリング、オリックスなど6社で構成(RIEF)

2017-03-22 01:08:29

hamamatsu

 

 各紙の報道によると、浜松市は21日、下水道施設の運営を民間に委ねる「コンセッション方式」で市公共下水道終末処理場(西遠処理区)の優先交渉権者を「ヴェオリア・JFEエンジ・オリックス・東急建設・須山建設グループ」に決めたと公表した。下水道事業のコンセッションは国内初めて。

 

  コンセッション方式は、道路や空港、水道などの公共施設において、国や自治体が所有権を残したまま、運営する権利を民間事業者に売却する仕組み。民間の経営ノウハウや人材を活用しつつ、コスト削減や役所の負担軽減を狙う。

 

 同方式の活用は安倍政権が進める成長戦略の1つでもある。今回、浜松市が公表した入札結果によると、ヴェオリア・ジャパンを代表とする6社グループのほか、もう1グループから応札があった。このため市は専門委員会を開き、2016年度から非公開で選定作業を進めていた。

 

 ヴェオリアグループに運営権を付与する施設は西遠浄化センター(南区)と中継ポンプ場2カ所。売却期間は2037年度までの20年間。市は今後、同グループと基本協定を締結し、整い次第、下水道運営の一部が、浜松市から同陣営に20年間委ねられる。

 

 コンセッション方式でのインフラ事業を民間に開放する試みは、すでに空港や道路で始まっている。公共性の高い施設やサービスでも、民間流の効率的な運営ノウハウを生かせば、一定の収益性が見込める。このため、今後、インフラ運営に参入する企業が増えそうだ。

 

 国内で利用料収入を伴うインフラ資産は185兆円とされる。これらを民間委託することは、行政にとってインフラ維持運営のための財政負担を軽くできるメリットが生じる。一方の企業側は、ほぼ手つかずだったインフラ運営の新規市場に参入できる。

 

 国内のコンセッション対象は、宮城県の仙台空港や愛知県の有料道路などで、すでに民間運営が始まっている。だが下水道分野は全国で資産規模が約90兆円と国内最大のインフラ市場となっている。

 

 今回の対象施設は市内の下水処理量の6割を占める。ヴェオリア陣営はコンセッション期間中、施設の運営や設備更新などを独自に行う。センサーなどを使って少ない人員で効率的に設備管理する仕組みや、下水汚泥をバイオマス発電向けの燃料とする設備を設けて副次的な収入の獲得も狙う。

 

 下水道は全国的に設備の老朽化が深刻な段階にきている。2030年には国内全体の更新費用が年1兆円台に乗せ、現在の7割増に膨らむ見通し。しかし人口減少による利用料収入の減少も続いており、自治体の運営は苦しいという。そのため、民間委託の広がりは不可避とみられている。下水道のコンセッション導入は、大阪市や宮城県も検討中。

https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/