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南北両極の海氷面積、いずれも今月は過去最小に縮小。消失面積は日本の国土の5倍以上分(RIEF)

2017-03-23 16:31:27

 

  米航空宇宙局(NASA)は23日、今月に入って、南極と北極を覆う海氷が、いずれも観測史上、最小面積を記録したことを公表した。両極をカバーしている氷の面積は1621万k㎡で、1981~2010年平均に比べて、200万k㎡少なかった。これは日本の国土の約5.3倍に当たる。

 

 NASAと、コロラド州ボルダーにある国立雪氷データセンター(NSIDC)の研究者の観測によって明らかになった。北極の海洋面積は今月7日の時点で今冬季の最大値を記録したが、その面積は、観測史上、最小にとどまった。一方の南極は現在、夏なので、海氷は縮小を続け、今月3日に、過去最小のレベルとなった。南北両方の極の氷が、そろって過去最小となったのは、初めて。

 

 北極の海氷は7日時点で、1442万k㎡まで拡大した。これはこれまで冬季の最盛期に海氷がもっとも少なかった2015年に比べて9700k㎡小さく、1981~2010年平均よりも、122万k㎡も小さかった。通常、北極の氷は、今月半ばくらいから溶け出し、9月半ばくらいまでで最小となる。10月に入ると徐々に氷が厚く、かつ広がっていくが、この冬は海洋の温度が夏場に高く、氷が張り始めるのが10月後半から11月にずれ込んだ。さらに、風の動向も、氷結につながらず、また連続して吹きすさんだ暴風も氷の形成にマイナスとなった。

ice2キャプチャ

  一方、南極の氷は通常、9月が最大となり、2月が最小となる。この冬の海氷は、211万k㎡で、過去最小だった1997年の記録を18万4000k㎡下回った。南極の海氷は北極と違って、昨年までは総じて増加基調にあった。ところが、昨年9月初めから融けるのが早まり、衛星観測によると、毎月の面積も過去最小を続け、今月に至って、最小記録を更新した。

 NASAの科学者であるWalt Meier氏は「南極も北極もともに、多くの変動要因があるが、データを見る限り、地球温暖化の影響が南極にも顕在化したようにみえる。しかし、今回の結果は一時的な異常値かもしれない。今後、数年の動きを注意深く分析する必要がある」と述べている。

https://www.nasa.gov/feature/goddard/2017/sea-ice-extent-sinks-to-record-lows-at-both-poles