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国連核兵器禁止条約に「不在」の日本政府。「自分の国に裏切られた」 広島の被爆者、日本政府を強く非難(東京新聞)

2017-03-29 16:36:21

NYUNキャプチャ

 

 【ニューヨーク=北島忠輔】国連本部で開かれている核兵器禁止条約の制定交渉で、広島で被爆したサーロー節子さん(85)=カナダ在住=が二十八日の会合に出席して英語で演説し、交渉不参加を表明した日本政府に対し、「自分の国に裏切られ、見捨てられ続けてきたという被爆者としての思いを深くした」と厳しい言葉で非難した。

 

  サーローさんは非政府組織の核兵器廃絶国際キャンペーンを代表して参加。十三歳の時に広島で被爆し、一週間後に姉とおいを亡くした経験から、「広島と聞いて最初に思い出すのは被爆して膨れ上がり、かすかな声で死ぬまで水を求め続けたおいの姿だ」と核兵器がもたらす悲惨さを訴えた。

 

 唯一の被爆国だが交渉に参加しない日本政府に対し「各国の要人を広島に招き、悲惨さを知ってもらうことで核軍縮の重要な役割を担っているというが、米国の核の傘に入り続けるなら、これらは口先だけの責任逃れの行動だ」と批判。核廃絶を求める日本国民の世論に応え、核保有国とは独立した立場を取るべきだと主張した。

 

 一方、交渉参加国に対し、「核兵器は違法で倫理に反すると宣言する条約の制定がみなさんの任務だ」と要請。会場の参加者から大きな拍手を浴びた。

 

      ◇

 被爆者で会場にいた藤森俊希さん(73)=長野県茅野市=は「被爆国なのに核廃絶に動かないことが、被爆者の心を傷つける」と共感した。傍聴した長崎大一年野村梨紗さん(19)は目に涙を浮かべ「ここに日本政府がいないのが悔しい」と話した。 (共同)

 

◆実質交渉始まる

 

 【ニューヨーク=北島忠輔】核兵器の保有や使用を法的に禁止する核兵器禁止条約制定に向けた実質交渉が二十八日、米ニューヨークの国連本部で始まった。日本政府は参加していない。

 

 制定を主導するオーストリアの代表は「核使用の犠牲になった人類の苦難にも言及を」と被爆者の思いを反映するよう求めた。

 

 この日は、主に条約の前文について、各国が意見を表明した。

 

 オーストリアの代表は、二十七日に被爆者代表として参加した日本原水爆被害者団体協議会の藤森俊希・事務局次長の演説を踏まえ、「前文には、核兵器の非人道性を明記すべきだ」と訴えた。

 

 ブラジルの代表は「核保有国が軍縮義務を履行している兆候はない」と指摘。「完全な軍縮に向けた各国の決意を盛り込むべきだ」と述べ、非保有国が一体となって保有国に圧力をかけるべきだと主張した。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017032990135712.html