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香川県・豊島の不法産業廃棄物投棄事件、14年かけて島外撤去完了 国内最大級90万8千トン、総費用727億円。(山陽新聞)

2017-03-29 16:45:53

teshimaキャプチャ

 

 大量の産業廃棄物の不法投棄があった香川県・豊島で28日、産廃の島外搬出が完了した。住民との公害調停に基づき、県が作業を始めて14年。搬出した産廃の総量は国内最大級の90万8千トン(汚染土壌を含む)とみられる。近くの直島(同県)で焼却・溶融する無害化処理は5月末に終える予定。

(写真は最後の産廃輸送船を見守る香川県・豊島の住民ら)



 直島と往復する産廃輸送船が同日午後、最後の運航をした。投棄現場に近い豊島最西端の桟橋には、住民約100人が集まり、出航を見送った。廃棄物対策豊島住民会議の安岐正三事務局長(66)は「非常に長く、苦しい道のりだった。豊島という文字通り、豊かな島をつくるためにこれからも全力を注ぐ」と話し、涙ぐんだ。



 公害調停で合意した島外搬出期限は今月末だった。ぎりぎりでの達成に県関係者も安堵(あんど)の表情を浮かべた。出航に立ち会った浜田恵造知事は、住民を前に「県政の最重要課題と位置付けて取り組んできた。最後の船を送り出すことができ感無量」と述べた。



 地元業者による豊島の不法投棄は1980年代前半に本格化。破砕された自動車用部品(シュレッダーダスト)、廃油などが県外から持ち込まれた。90年には兵庫県警が廃棄物処理法違反容疑で摘発。住民は産廃撤去を求めて93年、日弁連会長を務めた中坊公平氏(故人)を弁護団長に公害調停を申請し、2000年に成立させた。合意内容には、事態を深刻化させたことへの県の謝罪も盛り込まれた。

 

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 県は島外搬出・無害化処理の開始当時、総量を67万4千トンとみて、13年3月までの10年間で作業を終える予定だった。しかし、産廃の新たな確認などで11年には推計90万5千トンと大幅修正し、当初計画は破綻した。これまでに搬出と処理に要した費用は約727億円。産廃特別措置法に基づき国から6割の財政支援を受けている。



 県は今後、投棄現場での汚染地下水の浄化を本格化させる。28年の完了を見込んでいる。住民は自然景観の回復を目指した緑化などを計画している。無害化処理をしている三菱マテリアル直島製錬所内の処理施設は、処理が終われば溶融炉と焼却炉を撤去する。事務棟は同社に無償譲渡する。

 

http://www.sanyonews.jp/article/508942