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世銀グループの国際金融公社(IFC) 中米のホンジュラスでのパームオイル農園企業の農地拡張をめぐる農民との紛争で、「融資者責任」を問う訴訟を提起される。初の責任認定となるか(RIEF)

2017-04-18 22:45:07

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 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)によると、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が投融資先である中米のホンジュラスのパームオイル会社「ディナント・コーポレーション( Dinant Corporation )」の農地取得をめぐる強引なやり方を知りながら、融資を続けてきたと告発する訴訟が、米ワシントンの連邦裁判所で提起された。

 

 IFCを訴えたのは、人権・環境問題のNGOの「EarthRight International」。ディナント社によって農地不法収奪と殺人を含む暴力・脅迫等の被害を受けてきたとする17人の農民らの代理の形で提訴した。

 

 EartRightによると、IFCは2015年にインドでの石炭火力発電所への融資をめぐり、発電所建設で影響を受ける地元の漁師らから訴えられた経緯がある。この訴訟では、IFCは免責扱いとなった。今回の訴訟で、IFCの「過失」が認められれば、国際公的金融機関の投融資活動の社会的責任を認める初のケースとなる、と指摘している。

 

 ICIJによると、問題となっているディナント社は、ホンジュラス北部のコロン県バホ・アグアンでパームオイル農園を営業している。同国の土地の所有権の法律改正を受けて農園の拡張に乗り出し、居住する貧困層の農民の土地を買い上げを展開してきた。しかし、その買い上げの方法は武装した部隊が強引に土地の売却を迫り、反対する農民らには銃撃や殺人も犯してきたという。

 

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  IFCは途上国での貧困対策や開発促進のために、地元企業などに融資を中心とした資金供給を展開している。今回のディナント社向けにはIFC本体と、子会社のIFC Asset Mangement Companyが資金供給を続けてきたという。結果的にこれらの資金が、農民の土地を収奪する資金に活用されたことになる。IFCも投融資資金が問題を起こしている(flawed)ことを認めているという。

 

 ディナント社の不正なやり方の事例として指摘されるのは、2012年に、ディナント社を批判していた地元教会の牧師がある日、姿を消した4日後に、死体となって発見されたケースだ。また2015年に、ICIJが聞き取り調査した捜査官の証言によると、バホ・アグアンで土地使用をめぐる問題に関連して133件の殺人があったという。

 

  ICIJによると、ディナント社は、2009年にICFから直接1500万㌦(約16億円)の資金を受けたほか、2011年には、ホンジュラス最大の富豪の1人がICFから7000万㌦(約76億円)の資金を得ていたという。原告たちは訴状で、IFCはディナントなどに資金を供給する前に、ディナント社の弾圧を知っていた可能性があるほか、そうでなくても本来は、知るべきだったと指摘している。

 

 IFCはICIJに対して、バホ・アグアンでの暴力問題を減らすために、ディナント社に対し、農園の警備部隊の武装を解除し、農民と会社の対立を解消するための調停の手続きをとってきた、と説明しているという。ディナント社は違法行為を否定し、同社はホンジュラスで広大な農園を保有しているが、いずれも合法的に取得したと主張している。

 

 双方の対立による衝突で、多くは農民側に犠牲が発生しているが、ディナント社側の社員も殺害されているという。

 

http://www.huffingtonpost.jp/2017/04/14/honduras_n_16023284.html

https://www.icij.org/blog/2017/03/lawsuit-world-bank-arm-aided-firm-hired-death-squads