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たばこ喫煙による死者数、年間700万人以上に。家計や政府の負担額年154兆円にも達する。世界保健機構(WHO)が報告書で警告(RIEF)

2017-05-31 21:44:27

 

  世界保健機関(WHO)は30日、喫煙による死者は世界で年間700万人以上に達し、その健康影響で家計や政府の負担額が年間1.4兆㌦(約154兆円)に達している、と発表した。5月31日の「世界禁煙デー」に合わせ、たばこ被害をグローバルに警告した。

 

 WHOはこれまで、喫煙による死者を年間約600万人と推計してきた。しかし、最新の医療統計等に基づき増やした。また健康被害に伴う1.4兆㌦もの膨大な経済的損失をカバーするために、たばこへの課税強化と価格の引き上げを求めている。

 

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 たばこには7000種類以上の発がん物質等の有害物質が含まれている。たばこの吸い殻は、どの国でも廃棄物の最大のウエイトを占めている。日量150億本販売されるたばこのうち3分の2に相当する100億本は、環境中にそのまま廃棄されているという。いわゆる「ポイ捨て」だ。

 

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 また、たばこ栽培は子供の教育にも影響を与えている。タバコ栽培農家の子供のうち10~14%は、たばこ農場で働かされるため、授業に出席しない傾向にあるという。タバコ栽培農民の60~70%は女性で、有害な化学物質の農薬にされされている。たばこによる健康影響は、非伝染性の病気の16%の原因になっている。

 

 WHOはこうしたたばこ被害を防止するため、各国政府に対して、強い規制政策をとるよう要請している。たばこ嗜好を抑制するため、広告やマーケティングを禁止するほか、たばこ税を引き上げ、喫煙スペースを室内の公共スペースや、仕事部屋に設置することなどだ。

 

 WHOの事務局長のDr Margaret Chan氏は「たばこは、われわれすべてに脅威を及ぼしている。貧困を拡大し、経済の生産性を低下させ、家計の食品選択を乏しくし、室内の空気を汚染している」と警告している。

 

 そのうえで、「健全な、たばこ抑制策をとることによって、たばこという有害商品から、喫煙者と非喫煙者の両方を保護するとともに、健康・社会コストを低減させ、環境保全につながる」と述べている。

 

 たばこ抑制対策で最も効果的、とされるのがたばこ税の賦課である。各国政府が毎年徴収するたばこ税は、総額で2700億㌦に上る。仮に、たばこ一箱に0.80セントを世界全体で増税するだけで、1410億㌦の税収を追加で得ることができるという。

http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2017/no-tobacco-day/en/