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香川・豊島の大量産業廃棄物不法投棄の無害化処理、14年かけて完了。総処理量は約91万㌧(各紙)

2017-06-14 02:27:09

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 各紙の報道によると、香川県土庄町の豊島に不法投棄された産業廃棄物の無害化処理が12日、完了した。2003年の処理開始から14年かけて約91万㌧分の処理が終わった。廃棄物は隣の直島に移送され、焼却・溶融された。豊島の投棄跡地は今後、地下水浄化を進め、5年程度で全事業を終える。

 

写真は、環境センターで溶融炉の火を落とす作業を指示する香川県知事ら)

 

 13日、浜田恵造香川県知事が処理施設「直島環境センター」で溶融炉の停止指示をした。同知事は「大きな区切りを迎えることができた。施設撤去など、今後も環境保全を第一に全力で取り組む」と述べた。直島町の浜中満町長は「事故もなく終了し、ほっとした」と語った。

 

 浜田知事や浜中町長らは、センターの中央制御室で、作業停止の指示を行った。約1300度の高温で廃棄物を焼却し続けた溶融炉の火は、1時間に50度ずつのペースで徐々に温度を下げ、19時間後に停止した。

file:///C:/Users/yfcha/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/Content.Outlook/1QX4XB3E/【新聞記事等】H29.6.13(処理完了).pdf

 

 豊島産廃問題は1978年に、香川県が地元業者が「ミミズ養殖による土壌改良」の名目で、豊島に廃棄物の処理場を作ることを許可したことから、全国から自動車廃棄物や廃油などが大量に持ち込まれた。しかし業者は廃棄物を処理せず、野積みにしたまま汚染の拡大を進めた。

 

 廃棄物持ち込みから12年後の1990年に、兵庫県警が同業者を廃棄物処理法違反で摘発するまで、豊島の住民たちは、土壌・海洋汚染と、廃棄物を運び込むトラックの騒音・振動などの環境被害に悩まされ続けた。住民らは早急な解決を求めて公害調停を申し立て、故中坊公平弁護士を中心とする弁護団が調停の成立に力を尽くした。

 

 その後、香川県は2000年に、住民の間で成立した公害調停に基づき、03年から焼却・溶融する無害化作業を進めてきた。91万㌧の廃棄物のうち、直接焼却ができたのは約25万㌧。残りの約65万3000㌧は燃え残りの副生物となり、その大半の「スラグ」は公共事業等の材料として活用されている。

 

 地元で廃棄物対策豊島住民会議を推進してきた安岐正三事務局長は「よくぞここまで来た、という万感の思い。原状復帰に向け、また次のページに進んだ。まだ道半ばではあるが、今後も元の姿を取り戻すまで、努力は惜しまない」と語った。

 

 当初、焼却場を建設する直島の漁協では、ハマチ養殖への風評被害が起きることを懸念する反対の声も上がった。しかし、実際には目立った被害はなく、対策金として県が用意した5億円の費用も使うことはなかったという。