サステナブルキャンパスを進める大学ネットワークのISCN。2017年サステナブルキャンパス優秀賞を、千葉大学が初の日本の大学として受賞（RIEF）
2017-07-02 21:16:24
サステイナブルキャンパス構築を目指す世界的な大学ネットワークのISCN（The International Sustainable Campus Network）はカナダ・バンクーバーで開いた年次大会で、「ISCNサステナブルキャンパス優秀賞」に、日本の千葉大学を含む4校を選出した。日本の大学が選ばれたのは初めて。
ISCNの年次大会は8回目で、バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学で、世界の31カ国から 78 の高等教育機関（大学）が集まって開かれた。大会のハイライトである「サステナブルキャンパス優秀賞（Sustainable Campus Excellence Awards）を」は、リーダーシップ、創造性、有効性、優れたパフォーマンスが認められる持続可能なキャンパスプロジェクトを表彰する制度として知られる。
表彰された4校は、大学の建物のサステナビリティ化を進めたシンガポールの国立シンガポール大学が「Building and Innovative Infrastructure Award」を、キャンパス設計と管理システムで優れた成果を上げたドイツのトリーア応用科学大学が「Campus Planning and Management Systems Award」を、米ペンシルバニア州のスワースモア大学が「Innovative Collaboration Award」を、そして日本の千葉大学が「Student Leadership Award」を、それぞれ受賞した。
千葉大学は、学生が中心となっている環境ISO学生委員会が大学の環境マネジメントシステムを運営している長年のプロジェクトが評価された。
同大学は、2004年度から主要４キャンパス（西千葉、松戸、柏の葉、亥鼻で環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得してきたほか、2013年12月には、環境・エネルギーマネジメントシステムでISO50001の認証登録を取得した。
また同大学の環境マネジメントシステムは、その構築と運用に学生が組織する環境ISO学生委員会が主体となっているほか、授業でも「環境マネジメントシステム実習1・2」として単位化され、全学部・学科の学生が履修できる。サステナブルの大学運営と授業が一体となっていることが特徴とされる。
これまでも2015年度に「地球環境大賞文部科学大臣賞」「サステイナブルキャンパス賞学生活動部門」「低炭素杯2016ユニ・チャーム最優秀エコチャーミング賞」、環境報告書で「環境コミュニケーション大賞 環境配慮促進法特定事業者賞」など、多くの表彰を得ている。
ISCNの議長を務めるMatthew Gardner氏は「我々は常に サステナブルキャンパス優秀賞の応募校の熱気に感動させられる。各プロジェクトの熱意は共通している。賞を選ぶのに苦労した」と述べている。
またISCNの代表理事であるZena Harris氏は「今回の受賞校がサステナブルなキャンパスづくりでとってきた努力を評価したい。さらにサステナビリティを普及させるリーダーシップの発揮にも敬意を払いたい」と評価している。
授賞式に参加した千葉大の学生たちは以下のコメントを公表した。
法政経学部３年・井上香織さん。「学生委員会の取り組みに対して世界の多くの大学から想像以上に反響があって嬉しかったです。世界から評価されたことで、改めて自分たちの組織の価値に気づくことができました」
法政経学部３年・嶺康平さん。「他大学の発表や様々な人とのコミュニケーションを通じて、世界各国の環境に対する取り組みを学ぶことができ、国民性や文化の違いによって環境への取り組みにも特徴があることを知りました。また、ディスカッションの場では海外の人の積極的に発言する姿勢を目の当たりにして、日本が学ぶべきところがあると感じました」
法政経学部２年・新谷有希奈さん。「”サステナビリティ”には環境だけでなくさまざまなことが結びついていることがわかり、もっと自分たちの活動を広げていきたいと思いました。今回、自分たちの発表や受賞に対してたくさんの反響がありましたが、これは学生委員会の活動を知ってもらえたからこその反響なので、もっと世界中のより多くの人に知ってもらいたいと思いました」
https://www.international-sustainable-campus-network.org/news/496-iscn-2017-winners
Research Institute for Environmental Finance