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「サステナブル&エシカルなツナ缶」 日本国内では確認できず。 グリーンピースが、国内小売・メーカー20社のツナ缶調達方針で調査(RIEF)

2017-07-14 17:25:42

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  国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、国内大手の小売業18社とメーカー2社の合計20社を対象に「マグロ類缶詰・パウチ(ツナ缶)の調達方針に関する調査」の結果を公表した。それによると、回答のあった15社のうち、持続可能性と社会的責任の観点からツナ缶の調達方針を設定し、それを遵守した調達または製造(委託を含む)をしている企業は確認できなかったという。

 

 ツナ缶の原材料には、絶滅危惧種のメバチマグロや、乱獲状態のキヒアダマグロの利用が問題になっている。そこで調査では、メーカーから小売までを含めたツナ缶のサプライチェーン全体に、持続可能で社会的責任のある調達が行われているかどうかを調べた。

 

 缶詰の場合、鮮魚に比べて、加工の過程が入ることでサプライチェーンが複雑化し易い。特にツナ缶は海外での操業と加工等によって、トレーサビリティが不透明になりやすく、結果として過剰漁業や混獲などによる海の生態系の破壊、違法・無報告・無規制漁業(以下、IUU漁業)や労働者の人権問題に関わっていると指摘されている。グリーンピースがタイとインドネシアで行なった調査でも、マグロ漁における人権問題が見つかっているという。

 

<調査の主な結果>

 

メバチマグロはIUCNレッドリストで絶滅危惧II類に指定されていますが、3社(セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ライフ)で販売されていたツナ缶原材料での使用が確認された。また、乱獲状態にあるインド洋系群の準絶滅危惧種キハダマグロに関しては、8社で使用が確認された。

 

今回の調査では、資源と漁法の両面で生態系に最も負荷が少ないツナ缶は、一本釣りでとられたビンナガ(ビンチョウ)マグロとなった。このツナ缶は、2社(はごろもフーズ、ヤオコー)で販売を確認。ビンナガ(ビンチョウ)マグロは準絶滅危惧種に指定されているが、両社のツナ缶は、乱獲状態にはない北太平洋系群で、また、一本釣りの漁法でとられている点から、より海の生態系に負荷がないとしている。

 

 原材料マグロ類の主な漁法は、巻き網が中心で、同漁法の場合、人工集魚装置(FADs)をしばしば使うが、そうするとマグロ以外のサメやウミガメ、未成魚のマグロなども水揚げしてしまうことが多い。このため、NGOらはFADsを使用しないよう要請しているが、実際には同装置に使用を禁止している企業はなかった。

 

  漁船が漁獲した魚を、港に戻って陸揚げするのではなく、洋上で積荷として別の船に移し替えて、引き続き操業を継続する「洋上転載」が、タイのツナ缶最大手のタイ・ユニオンによる人権無視の違法操業として批判を受けた。だが、今回の日本企業対象の調査でも、明確に洋上転載に由来する原材料の調達を禁止している企業は一社もないことがわかった。ツナ缶製造の加工以降のプロセスしか認識していないことが理由と思われる。

 

 グリーンピース・ジャパンの海洋生態系担当、岡田幸子氏は「日本は世界有数の魚食文化を誇るが、サステナブルかつエシカルに調達された製品の普及はまだまだ。海外では、世界最大のツナ缶企業タイ・ユニオンがグリーンピースや消費者の声に応え、サステナブル・シーフードの普及に舵を切るとともに、労働者の生活を向上させると発表した。日本市場もその変化の波に乗るべきだ」と指摘している。

 

【アンケート調査の調査概要】

◇調査方法:アンケートおよび回答票を送付
◇調査期間:2017年4月3日(月)~7月6日(木)
◇調査項目:調達方針、資源、漁法、IUU漁業、洋上転載
◇調査対象:売り上げ、店舗数、関連企業などを総合的に判断し業界の大手20社を選出。


 ツナ缶の国内シェア約70%を占めるメーカー:はごろもフーズ、いなば食品


スーパー・生協:イオン、イトーヨーカドー、イズミ、イズミヤ、オークワ、コープデリ生活協同組合連合会、西友、バロー、フジ、平和堂、マルエツ、ユニー、ヤオコー、ライフ、ラルズ


コンビニ:セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソン

 

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http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2017/pr20170713/