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日本でのネットでの象牙製品取引状況。オークション、フリマへのシフト目につく。ヤフオクでは一週間平均1100万円強の取引。WWFとトラフィックが調査(RIEF)

2017-08-08 18:37:39

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 環境NGOのWWFの野生生物取引監視部門であるトラフィックは、日本のインターネットを活用した象牙取引の現状についての調査結果を公表した。それによると、サイバーモールやオークションサイト等での取引の合法化は進んでいるが、それでもヤフオクでの一週間の取引高は平均2447個、1130万円に上った。また監視の目が届かない個人間のフリマサイトでの取引に、業者がシフトしている懸念も高まっている。

 

 トラフィックでは2014 年に日本市場での主要eコマースプラットフォームを対象としたネットでの象牙取引を実施した。今回はその手法を踏まえて、対象を拡大、①サイバーモール(電子商店街:楽天、ヤフーショッピング)②オークションサイト(ヤフオク!)③C to Cマーケット(個人間商取引:フリーマーケット:メルカリ、ラクマ)の3つのカテゴリーごとに検証した。

 

 調査は今年5月に各サイトを「本象牙」のキーワードで検索、さらに象牙製品の広告サンプルから製品に関する情報、出品者・事業者情報等を分析した。またヤフオク!とメルカリでは4週間(今年5月8日~6月4日)にわたってモニタリング調査を実施した。

 

 その結果、楽天市場は2014年に比べて、該当店舗数は107店舗から55店舗に半減していた。楽天は7月末で象牙製品の取り扱いを停止している。http://rief-jp.org/ct4/71309。一方、ヤフーショッピングは調査時点で楽天を上回る58店舗に増え、ヤフオクのキーワード検索数は前回に比べて52%増の4158件と増えた。フリマの2サイトでも多数の広告がヒットしたが、いずれもヒット総数が表示されないので件数は不明。

 

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 各ネットサイトでは、サイバーモールでは主にハンコを販売する店舗が多数を占め、オークションサイトは彫刻や根付などの調度品、フリマは装身具とハンコが中心と、サイトによって取引される製品に違いある。日本の象牙取引の特徴として、古い象牙の装身具取引の存在がある。トラフィックでは、スマホを利用したフリマ取引がこうした中古製品の販売増を招いているとみている。取引価格は概ね1万円以下だが、場合によっては10万円、100万円超えの精巧な彫刻類もあるという。


 4週間のモニタリング調査では、ヤフオクの取引(成立分)が合計で9788件と多く、メルカリは広告が573件で、うち27%が「SOLD(売り切れ)」と表示されていた。両サイトとも,多様な象牙製品が販売されており、落札額はヤフオクの場合、42%が5000円以下。ついで1万円~5万円の価格帯が30%となっている。4週間での取引総額は4520万円で、大半が装身具と調度品。

 

 種の保存法による事業者の届け出状況は、2014年に比べて大きく改善している。14年には届け出事業者番号を明示した出品は、楽天で24%、ヤフーショッピングで11%しかなかった。今回の調査ではそれぞれ85%、88%と改善した。法規制で、2018年には事業者番号の啓二の義務化と,登録時業者情報の開示も義務化が施行される。事業者の準備が進んでいることがわかった。ただ、種の保存法による任意の製品認定制度(標章制度)の利用は少ないままで、トラフィックは「同制度が消費者に製品の合法性を確立する有効なツールになっていないのは明らか」と批判しており、同制度の義務化の是非が改めて論点になりそうだ。

 

 また現在の法規制で取引に規制があるのは、全形象牙だけ。今回の調査でヤフオクでは全形象牙の27件の広告のうち4件以外は登録票を掲示していた。しかし、フリマのメルカリでは9件中、掲示していたのは3件だけと、監視の緩いフリマが違法取引の場になっている可能性が指摘されている。

 

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 またヤフオクの象牙製品出品者の半数近くが事業者名を名乗っていないが、実際は個人所有の売却ではなく、ビジネスとしてオークションを利用している可能性が高いという。ヤフオクの調査ではサンプル中の22の個人形態の出品者のうち、少なくとも4者は複数の象牙製品を出品していた。メリカルでは23%、ラクマ25%が象牙製品を出品しており、ビジネス化している可能性が高いとしている。

 

 フリマでの出品には、持ち出しを禁じられているアフリカやアジアから近年に持ち帰ったことを広告として記載しているケースも数件あったという。ワシントン条約規制違反の製品が大手を振って、ネットで売られているわけだ。こうした実態を踏まえて、トラフィックでは現行の規制が全形象牙に限っていることが、法の網をかいくぐる違法販売を助長しているとして、規制の強化を求めている。

 

 また、事業者を名乗らないインターネット上の業者の把握と登録、e コマース企業による象牙取引の禁止を含む現行法より厳しい自主的措置の導入、知らないでネットで「違法製品」を購入してしまうことになるe コマース利用者への政府による普及啓発活動の実施などについても求めている。

https://www.wwf.or.jp/activities/data/20170808_wildlife01.pdf