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「絹の道」緑植え続け20年。神奈川・藤沢在住の元テレビマンの馬渕豊さん、中国現地の「緑化大使」に(東京新聞)

2017-08-17 15:45:49

Chinagreenキャプチャ

 

  20年以上にわたる中国シルクロードの緑化活動を通じて現地の農家を支援してきた元テレビ東京報道部長の馬渕豊さん(84)=藤沢市高倉=が、住民から「愛和緑化大使」の称号を贈られた。現役時代、米大統領など世界のリーダーを取材してきた馬渕さん。「日の当たらないところにこそ目を向けるべきだ」と第二の人生で新たな生きがいを見いだした。 (布施谷航)

 

 馬渕さんは一九九八年に退職するまで、世界を駆け回り主にドキュメンタリー番組を手掛けてきた。退職の二年前から、NPO法人「2050」(東京都)の仲間と一緒に世界の貧困問題や環境問題に取り組む国際ボランティアに関わり、その活動の一つがシルクロードの緑化だった。

 

 植える植物は、ユーラシア大陸の中部から北部に分布し、激しい温度差や乾燥に強いグミ科の「沙棘(サジー)」。健康食品の材料になるため、農家の収入につながる。馬渕さんは二年に一度は現地を訪れ、西安周辺や甘粛省蘭州市で汗を流し、シルクロードの数千ヘクタールの砂漠に沙棘を植えた。

 

 その熱意は現地の人たちの心に届いた。長年の友愛の気持ちに感謝の念を示そうと先月、特別に創設した「愛和緑化大使」の称号を東京で馬渕さんら「2050」のメンバー約二十五人に贈った。

 

 昔から、支援を必要とする人に目を向けていたわけではない。テレビマン時代に追い掛けたのは「日の当たる人たち」。世界八十三カ国を巡り、ドキュメンタリー番組を作ってきた。

 

 一九七〇年代に放送された各国のトップリーダーにインタビューする番組「世界の主役」のプロデューサーだった時は、フランスの俳優アラン・ドロン、米大統領のニクソンやフォードらに会った。

 

 しかし、印象に残っているのは退職後に訪れた途上国の人たちだ。ベトナムのストリートチルドレンの支援活動では、想像以上の貧しい生活に衝撃を受けた。「本当に視線を向けるべきは、日の当たらないところで精いっぱい生きている人たちなんです」

 

 「2050」はメンバーの高齢化のため今年三月に解散。緑化活動は、持続可能な国際社会の実現を図る国連環境計画(UNEP)の活動を支援する「日本UNEP協会」などが引き継ぐ。馬渕さんは「これからも緑化に関わっていきたい」と話す一方、「ミャンマーのへき地で医療活動をしている日本人医師の手伝いをしたい」と、新たな活動にも意欲を見せている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201708/CK2017081702000177.html