HOME12.その他 |「環境危機時計」、今年はトランプ政権の誕生で、世界の危機意識は「2分」進み、過去最も進んだ年と並ぶ。日本は8分進むが、危機意識は低いまま。旭硝子財団の調査(RIEF) |

「環境危機時計」、今年はトランプ政権の誕生で、世界の危機意識は「2分」進み、過去最も進んだ年と並ぶ。日本は8分進むが、危機意識は低いまま。旭硝子財団の調査(RIEF)

2017-09-09 00:18:17

clockキャプチャ

 

 旭硝子財団が毎年公表している「環境危機時計」が、今年は「9時33分」となり、昨年より2分進み、2008年と並び、最も時計の針が進んだ年になった。トランプ政権の誕生が大きな影響を及ぼしたことが判明した。

 

  調査は1992年から実施しており、今年は4~6月にかけて実施した。世界 211 カ国の環境分野の研究者、NGO、政府関係者、ジャーナリストなど29,214(海外 27,985 + 国内1,229)人にアンケートを送付した。ただ、回収率は7.4%(2,152人)と低い。

 

 調査では、「危機時間」を決めるため、気候変動、生物圏保全性、水資源など「地球環境の変化を示す 9 項目」を対象に、回答者が住む国ま たは地域において最も深刻だと思われる環境問題を 1 位~3 位として選んでもらう手法をとった。回答者が重視した分野は、気候変動が29%で最も多く、次いで生物多様性(12%)、水資源(11%)だった。

 

 これらのデータから、地球の環境の深刻さを0時1分から12時までの時刻で示している。9時を過ぎると「極めて不安」な状態になる。世界全体では1996年に初めて9時台に突入(9時13分)した後、2000年に一年だけ8時台(8時56分)に戻したが、翌01年以降、17年連続で9時台をキープしている。国別では日本は 9 時 11 分で、去年より 8 分進んだ。

 

国ごとの環境危機時計
国ごとの環境危機時計

 

 今年の世界全体の危機時間が「9時33分」と過去最も進んだ年と同順位にまで悪化した理由として、トランプ米大統領の出現が大きい。米大統領選以降の政治状況を「危機」の判断材料に挙げた回答者が全体で55%、米国で80%に達した。日本でも67%となった。トランプ大統領がパリ協定離脱を宣言したことの影響が反映したことが「危機時計」を進めたのは明瞭だ。

 

 国・地域別では、日本は昨年より8分も進んだが、世界全体よりは22分遅れの9時11分。最も危機感が高かったのは、オセアニアの10時13分で、次いで北米の10時8分。逆に最も低いのは、東欧・旧ソ連。昨年最も高かった中東は 61 分後退して 2 番目に低い。日本はそれに次ぐ危機意識の薄さだ。2007年からの推移をみると、日本は21分も危機意識が遅れており、「鈍感度」が増した理由が何かが、気になる。

 

 年齢別では 60 代以上の回答者の危機意識が最も高く、60 代以下に比べて危機時刻は 10 分以上進 んでいる。

 

http://www.af-info.or.jp/questionnaire/doc/2017jresult_fulltext1.pdf