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世界の環境NGOなど47 団体、東京オリンピック大会建設工事での不透明な熱帯林合板使用の停止をIOCに要請。「このままでは東京オリンピックは環境破壊と人権侵害の象徴になる」と警告(RIEF)

2017-09-11 15:42:44

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   グローバルな環境NGO、市民団体など47団体は11日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの関連施設建設で、アジアの熱帯林伐採による建材を大量に使用し、環境破壊と人権侵害を助長している、と批判する書簡を、ペルー・リマで開催される国際オリンピック委員会 (IOC)理事会に宛てて送付した。「このままでは東京オリンピックは環境破壊と人権侵害の象徴になる」と批判している。

 

 NGOらは環境NGOのレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)のほか、熱帯林伐採が進むマレーシア、インドネシア、カンボジア等のNGO、欧米、ロシア、アフリカ、豪州など世界各国で森林資源の保全を求める活動をしている団体などが名を連ねている。

 

 公開書簡はIOC理事会向けと、日本のオリンピック当局となる小池百合子東京都知事、森喜朗・組織委員会会長、大東和美日本スポーツ振興センター理事長の3者に向けて出した。

 

 NGOらは、すでに昨年12月6日にIOCに送った書簡で、東京大会の建設事業でマレーシアからの高リスク木材が使われていることを指摘している。しかし、今日に至るまで適切な対応はとられていないと批判している。今年4月には、マレーシア・サラワク州で手付かずの熱帯林を違法伐採したとみられる企業の熱帯材合板が新国立競技場の建設現場で見つかっている。しかし大会当局は、見つかった合板は国際的な森林認証PEFCを得た正当な認証材だと反論してきた。

 

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 これに対して、NGOらはその後の調査の結果、実際に競技場建設で使われているコンクリート型枠などの大半が非認証製品である可能性が高いと指摘、「東京大会当局は新国立競技場の建設に大量の熱帯材を使っているという事実を隠している。木材サプライチェーンの完全な透明性がなければ、持続可能なオリンピックを主催するという主張はまったく根拠がない」(RANのハナ・ハイネケン氏)と東京大会関係者の不誠実さを批判している。

 

 IOCは「オリンピックのすべての面に持続可能性を含める」という誓約を掲げている。しかし、NGOらはこれまでのIOCと東京オリンピック関係者の対応は、この誓約に違反し、極めて透明性を欠くうえに、型枠に使用される木材を環境、労働、人権に配慮する調達方針の要件から免除できるという「抜け穴」を作るなど、オリンピックの公正さ、信頼性を無視する行動をとっている、と指摘している。

 

    マレーシアでは5月に、オリンピック関連施設の建設に熱帯木材を使用することをやめるよう求める14万以上の現地住民の署名が集まり、日本大使館に提出されている。しかし、日本政府も、東京大会当局も、この陳情を無視したままだ。NGOらは、東京オリンピックの建設準備は、透明性がなく、異議申立制度も確立されておらず、説明責任がほとんど果たされていない、と、そのプロセスの不透明さに懸念を示している。

 

 思い起こせば、東京にオリンピック誘致が決まった際も、安部首相が「福島原発はアンダーコントロール(管理下に置いている)にある」と発言したことが決め手の一つになったとされている。だが、今もって福島原発の漏洩した核燃料の所在は把握できず、汚染水も絶えず、廃炉の見通しはつかめていないのが現状。フェイク(ウソ)で始まった東京オリンピックの準備作業は、一環して不透明、不誠実な対応が続いていることになる。

http://japan.ran.org/?cat=9