HOME8.温暖化・気候変動 |ハリケーン襲来が相次ぐ米フロリダ州。トランプ大統領所有の別荘「マー・ア・ラゴ」も2045年までに年間210日水没の可能性。他のトランプ物件にも海面上昇の影響(RIEF) |

ハリケーン襲来が相次ぐ米フロリダ州。トランプ大統領所有の別荘「マー・ア・ラゴ」も2045年までに年間210日水没の可能性。他のトランプ物件にも海面上昇の影響(RIEF)

2017-09-14 08:00:35

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 ハービーとイルマ(アーマ)の二つのハリケーンに襲われた米国南部。そのうちイルマの被害が大きかったフロリダ州南部には、安倍首相も招かれたトランプ大統領の別荘である。米国の歴史的建造物でもあるマー・ア・ラゴ(Mar-a-Lago)だが、温暖化の影響による海面上昇で、2045年までに年間210日間は海面下約30cmに沈むことがわかった。

 

 米国の国家海洋大気局(NOAA)の予測では、同州南部は2050年までに34インチ(約86cm)の海面上昇に見舞われる。さらに同州の環境NGOの南西フロリダ地域気候変動協定(The Souteast Florida Regional Climate Compact)の推計では2100年には海面上昇は81インチ(約2m)に達するという。同地域一帯の水没リスクは免れない。

 

 その中にあるトランプ氏の別荘はどうか。民間のリスク評価会社の「Coastal Risk Consulting」の推計では、別荘のマー・ア・ラゴの敷地は、2045年までには年間、少なくとも210日は干潮やハリケーンの影響で、海面下30cm以上になるという。

 

安倍首相も別荘を訪問し、歓待を受けた。
安倍首相も別荘を訪問し、歓待を受けた。

 

 マー・ア・ラゴは大恐慌前にフロリダの女性商人マージョリー・メリウェザー・ポスト女史によって建造された国定歴史建造物。1万m2の敷地に126の部屋やクラブ、アメニティなどを兼ね備えたホテルのような客室やスパなどがある。トランプ一家は敷地内の独立したプライベート区域に滞在する。トランプ氏は「冬のホワイトハウス」と呼んでいる。

 

 Coastal Risk Consultingの推計では、別荘のメインビルディングは少なくとも今後、30年間は安全という。しかし、ハリケーンの襲来時や大潮の発生時などには、洪水の危険性が増す。このため、建物へのアクセスが制限される可能性が高まると指摘している。

 

 海面上昇のリスクにさらされるのは、マー・ア・ラゴだけではない。トランプ氏は同州のサニー島にトランプ・ロイヤル・コンドミニアムや、トランプパレス、トランプ・インターナショナル・ビーチリゾート・ホテルなどの不動産を大量に所有している。これらも今後30年間のうちに、ハリケーンの襲来による洪水や暴風雨などで年間97日間は影響を受ける事態になるという。

 

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 自慢の同島のビーチも、ハリケーンによる浸食と劣化が進行する。マイアミから北へ12マイルのところにあるトランプ・ハリウッド・コンドミニアムは、周囲の海面上昇が進んで、年間140日間は「島に変貌する」と予測されている。

 

 またトランプ氏が同州に所有するゴルフコース National Doral ゴルフ場も海面上昇と洪水のリスクにさらされている。コースは全面的には水没しなそうだが、周辺での洪水の発生がゴルフ場へのアクセスをできなくするとみられる。そうなると、トランプ氏得意のゴルフ外交も中断を余儀なくされそうだ。

 

 温暖化懐疑論者のトランプ氏が、保有不動産の多くを、温暖化の進行に伴う海面上昇、洪水等による水没リスクを抱えているとは、皮肉でもある。にもかかわらず、同氏は「温暖化問題は中国による作り話」とうそぶいたりしている。

 

 ただ、その一方で、アイルランドのドーンベグに所有する海岸沿いのゴルフコースについては、海面上昇からゴルフ場を守るため、2016年、2マイルにわたる長い壁を設置する申請したという。英Guardian紙によると、申請には「地球温暖化と海面上昇から防ぐため」と記入している。自分の資産は温暖化の影響から守り、他人の資産は「温暖化は作り話」とうそぶき対策を施さない。これがトランプ流だな。

https://www.theguardian.com/us-news/2017/sep/09/trump-florida-mar-a-lago-hurricane-irma