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日本を含む世界中から採れる蜂蜜の75%からネオニコチノイド系農薬を検出。ミツバチの生存に対する懸念高まる。スイスの研究チームが突き止める(各紙)

2017-10-07 14:44:28

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 各紙の報道によると、世界中の蜂蜜の75%に、ミツバチの大量死との関連が指摘されるネオニコチノイド系農薬が含まれていることがわかった。スイスの大学の研究チームが突き止めた。人の健康に影響がないわずかな量だが、日本を含む世界の広い地域で検出されたという。作物の重要な花粉媒介者であるミツバチの生存に対する懸念が高まると同時に、農薬汚染が世界中に蔓延していることを示している。

 

 スイスのヌーシャテル大学(University of Neuchatel)のエドワード・ミッチェル(Edward Mitchell)氏が率いる研究チームは、日本を含むアジア、北米、南米、欧州、オセアニア、アフリカの各地域から198の蜂蜜のサンプルを収集し分析した。その結果、対象となった蜂蜜の75%からネオニコチノイド系農薬を検出した。半数近くから、複数の農薬が検出されたという。調査結果は、米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 

 調査では、一般的に使用されている5種類のネオニコチノイドの検査を実施。その結果、「蜂蜜試料全体の75%は少なくとも1つのネオニコチノイドを含んでいた」という。蜂蜜の汚染の割合を地域別に見ると、北米が最も高く86%、次が日本を含むアジアの80%、欧州の79%となっている。最も濃度が低いのは南米の57%だった。

 

 検出された農薬の残留濃度は、EUが定める人間の健康保護のための残留基準を下回る微量だった。ただ、昆虫であるミツバチにとっては、深刻な濃度だ。蜂蜜試料の34%がミツバチの生存にとって「有害なネオニコチノイドの濃度」に達しており、研究チームはミツバチは慢性暴露状態にあり、生存を脅かしている、と指摘している。

 

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  ミツバチは世界の主要穀物の90%の授粉を支えているが、最近は、各地で大量死が続出し、社会問題化している。原因については、ダニや殺虫剤、ウィルス、菌、またはこれらの組み合わせが原因とされる謎の「蜂群崩壊症候群」と扱われている。ミツバチは植物の花蜜を集めながら授粉し、時間をかけてこの甘い液体が蓄積され濃い蜂蜜ができる。

 

 研究対象となった欧州の蜂蜜は、2013年のEUによるネオニコチノイドの一部規制前に採取されたもので、規制の効果を調べるにはさらなる研究が必要とされている。

 

 国連(UN)は昨年、ミツバチやチョウを主とする花粉を媒介する無脊椎動物の40%が、全世界で絶滅する恐れがあると警告している。ミツバチが絶滅すると、穀物や野菜などの農業生産に大きな影響を与えるだけでなく、生態系全体への影響も計り知れず大きくなるとみられる。

 

 http://www.afpbb.com/articles/-/3145809?cx_part=top_category&cx_position=3