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建設アスベスト「横浜第2陣訴訟」 企業に2例目の賠償命令。国の責任認定は連続6件目。厚生労働省の「怠慢」明確に(各紙)

2017-10-25 10:43:43

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 各紙の報道によると、横浜地裁(大竹優子裁判長)は24日、建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み健康被害を受けたとして、神奈川県の元建設労働者と遺族計61人が国と建材メーカー43社に対して、合計約16億7000万円の損害賠償を求めた集団訴訟で、国と建材メーカー2社の責任を一部認め、総額約3億586万円の支払いを命ずる判決を出した。

 全国6地裁で、同様のアスベスト訴訟が提起されており、今回の訴訟は「横浜第2陣集団訴訟」と呼ばれている。建設アスベスト集団訴訟で、メーカーの責任を認めた判決は昨年1月の京都地裁に続いて2例目。国の責任を認めた判決は121112月の東京地裁から6件連続となり、国の責任が明確に浮き上がった形だ。http://rief-jp.org/ct12/58151

 

 ただ、今回の判決でも、原告のうち「一人親方」と呼ばれる個人事業主については労働基準法が保護の対象とする「労働者」には当たらないとして国の責任は認めなかった。一方、メーカーのみの賠償が認められた二人は一人親方だった。

 判決は、石綿による肺がんや中皮腫発症の危険性が医学的に確立した時期を、国際労働機関などが発がん性を明言した1972年と認定。それに基づき、国は74年ごろまでには、健康被害の可能性を予見できたとした。

 そのうえで、国は75年の規則改正時までには、建設現場で飛散するアスベストを防ぐ唯一有効な手段とみなされた防じんマスクの罰則付き着用と警告表示を義務付けるべきだったのに、防じんマスクの着用は95年まで、警告表示は2006年まで、それぞれ怠ったとした。

 メーカーについても、同様に75年までには警告表示をすべきだったと認定した上で、原告ごとに被害状況を検討。「発症にどのくらい寄与したか不明でも、被害者が建設現場で吸い込んだと認められる建材を製造したメーカーの責任を認めるのが相当」と指摘した。原告のうち2人はニチアス(東京都)、8人はノザワ(神戸市)が製造した建材が健康被害の原因と認められると判断し、賠償を命じた。

 厚生労働省石綿対策室は「国の主張が認められなかった点もあり、厳しい判決。関係省庁と協議した上で対応したい」とコメントしている。一方、企業側は、ニチアスが「当社の主張が一部認められなかったことは遺憾」、ノザワが「判決が企業責任を認めたのは残念」とのコメントを出した。

https://mainichi.jp/articles/20171025/ddm/041/040/081000c

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201710/CK2017102502000138.html