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フリマアプリ「メルカリ」。象牙製品の出品を全面禁止へ。7月の楽天に続く自主規制。NGOに背中を押され決断。日本政府の規制は依然、追いつかず(RIEF)

2017-11-12 23:08:21

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 スマートフォンで簡単にアクセスできるフリマアプリ「メルカリ」が、象牙製品の出品を禁止したことがわかった。象牙はワシントン条約で原則取引禁止とされているが、日本や中国などの市場では「規制以前の在庫」として売買され、不法取引や密売を促しているのではとの懸念が国際的に出ている。こうした懸念を受けて、楽天が7月にネットオークションの対象外としたのに続いて、メルカリも象牙製品を排除することにしたとみられる。

 

 メルカリの象牙商品取り扱い禁止措置は、この問題を追及しているWWFジャパンが株式会社メルカリに確認した、として公表した。同社の説明では、グローバルに事業を展開するにあたり、象牙市場の閉鎖を求める国際的な動向に配慮し、象牙製品を禁止商材に加えるに至った、という。

 

 

象牙の密売を追跡しているNGO「トラフィック」が5月に実施した調査では、メルカリでは一週間に平均140点を超える象牙製品が出品されていた。その中には、タイやコンゴなどの海外市場で購入した象牙製品の出品も見つかったという。

 

 海外の象牙製品を国内に持ち込むことは、たとえ、お土産品であっても違法行為だ。また、いったん個人の手で国内に持ち込まれると、ネットなどでの売買には現行の日本の制度では規制がかからないことから、以後も自由に取引されてしまう。結果的に、そうした市場の存在があると、アフリカゾウの生息地などでの密猟を助長することにつながってしまうリスクがある。

 

 このため、WWFジャパンなどは、日本政府に対して、効果的な規制の導入を求める一方で、ネットでの販売市場を運営する「eコマース企業」に対して個別に、自主的な取引停止を要望する交渉を展開してきた。

 

 そうした行動を受けて、7月1日に、楽天が同社運営のオンラインモールの「楽天市場」と、フリマサイトの「ラクマ」の両方で、象牙製品の取り扱いを全面禁止する自主的措置を導入した。http://rief-jp.org/ct4/71309 イオンも、イオンモールなどでの象牙製品の販売を2020年3月までにやめる方針を打ち出している。

 

 今回のメルカリの決断は、そうした行動を受けてのものといえる。もともと、楽天やメルカリ、ヤフーなどのeコマース企業は、取引トラブルブルに発展しかねない違法出品の監視を強化してきている。今回のNGOの働きかけは、サイトの信頼性確保を重視し始めた企業側の合致する形となった。ただ、12日時点で、メルカリを検索すると、象牙風、象牙調といった出品があり、本物かどうかの確認はできていない。

 

merkariキャプチャ

 

 WWFジャパンは「(楽天などに次ぐ)今回のメルカリの決断は、eコマース企業の社会的責任という意味でも、大いに歓迎すべきだ。今後、メルカリには、ルールに違反した象牙製品の出品を監視する努力に加え、ユーザーに対して、象牙をはじめ野生生物の取引に対する情報提供や注意喚起などの、より幅広い取り組みを期待している」とコメントしている。

 

 eコマース企業の自主的な取り組みが広がる一方で、日本政府の規制が現状の取引実態に追いついていないとして、WWFジャパンなどは「政策の怠慢」を批判している。国内での象牙製品の取引には、「種の保存法(絶滅の恐れのある野生動植物の種の保存に関する法律)」による規制がかかる形にはなっている。

 

 だが、ネットを通じて、匿名の個人が昼夜、活発に取引できるCtoC市場の現状には対応できていない。現実は、ごく稀に出品される全形牙を除いて、「違法に持ち込まれた象牙でないこと」を確認する手順を踏まずに、誰でも自由に象牙製品の取引が可能という。

 

 世界全体の象牙の違法取引と、それを支える象牙製品への需要が引き金となり、アフリカでは、近年、毎年2万頭を超えるアフリカゾウが密猟の犠牲になっている。こうしたことから、昨年10月のワシントン条約第17回締約国会議では、密猟または違法取引に寄与している国内市場に閉鎖を求める厳しい勧告を採択した。

 

 しかし、日本政府は「日本の国内市場は影響を受けないと考えている」として、明確な対応をとっていない。国内の象牙加工業者等への配慮を優先しているとの指摘がある。

http://rief-jp.org/ct12/64837

 

 日本は中国に次ぐ、世界第二の象牙市場であると同時に、ワシントン条約の有力な締約国でもある。WWFジャパンは「国内で行われるいかなる取引も、密猟や違法取引に寄与しないことを確実にする責任がある」と指摘し、規制の強化を求めている。

https://www.wwf.or.jp/activities/2017/11/1394410.html