HOME12.その他 |「2017年国家ブランド指数調査」で、トランプ政権の米国が、前年の首位から6位に陥落。日本は7位から4位に急浮上。インバウンド観光の効果か。独市場調査会社が公表(RIEF) |

「2017年国家ブランド指数調査」で、トランプ政権の米国が、前年の首位から6位に陥落。日本は7位から4位に急浮上。インバウンド観光の効果か。独市場調査会社が公表(RIEF)

2017-11-21 16:59:03

GfK1キャプチャ

 

   ドイツの市場調査会社のGfKは、2017年の「Anholt-GfK 国家ブランド指数( NBI SM))」の調査結果を公表した。世界50カ国のブランド力を測定したもの。特筆すべきことは、前年1位だった米国が6位に陥落した点だ。トランプ政権の発足の影響が大きく影響したとみられる。代わってドイツが首位となり、日本は前年の7位から4位へ上昇した。インバウンド観光の広がりで、日本のブランドが見直されたとみられる。

 

 GfKの国家ブランド調査は、輸出、統治、文化、人々、観光、移住・投資の6分野における世界主要50カ国へのイメージを調査した。2017年7月7日~25日の間に、18歳以上の20185人を対象に、インターネット調査を実施した。各国のオンライン人口の属性(性別、年齢、教育)や、米国、英国、南アフリカなどの多民族国家では人種・民族の違いも考慮した。

 

 その結果、米国は、調査対象50カ国の中で唯一、ブランド指数の総合スコアが低下した。分野別に見ると、「文化」、「輸出」では2位、「移住・投資」では5位と高位をキープしたが、「統治」が19位から23位へ順位を下げた。この国家ブランド指数調査を2005年に考案したサイモン アンホルト教授は「米国の“統治”分野の順位低下は、 “アメリカ・ファースト”という大統領の政策メッセージに代表されるような“トランプ効果”によるところが大きいとみられる」と分析している。

 

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 ただ、同教授は、その一方で「米国人の自国に対する評価は前年と比べると非常にポジティブになっている。今回と同じようにジョージ・W・ブッシュ氏が大統領に再選された時にも、米国へのグローバル評価は下落し、7位にまで下がった。しかし、米国が続けて何年も上位から外れたことはこれまでない。2018年にどのような復活を遂げるのかは興味深い」と指摘している。

 

 代わって1位の座に就いたドイツは、6分野いずれもバランスの取れた評価を得た。特に前年から特にスコアが伸びた分野は「文化」(+1.07)、「統治」(+1.28)、「人々」(+1.34)。ドイツの総合スコア上昇には、エジプト(+5.92)をはじめ、ロシア(+2.26)、中国(+2.17)、イタリア(+2.06)の各国でのドイツへのイメージ向上が貢献した。反対に米国ではドイツへのスコアは11位と低かった。


 2位フランス、3位英国に続いて、日本はカナダと同率の4位だった。日本がトップ5に入ったのは、2011年以来初めて。総合スコアは、10年近くでもっとも高い。分野別では「輸出」で1位を獲得。また、トップ5には入らなかったものの、「観光」、「人々」、「移住・投資」も昨年から順位があがった。ただ、一昨年に発覚した東芝事件のほかに、今年は神戸製鋼、日産自動車などで、企業不祥事が相次いでいる。2018年の調査でどの程度、日本のブランド力に影響するかが気になるところだ。

 

 GfKのパブリックアフェアーズ&コンサルティング部門のシニア・バイスプレジデント、バディム ボロス氏は「Anholt-GfK国家ブランド指数(NBISM)は、現在のイメージ、推進力、潜在力という観点から各国の立ち位置を示している。国家ブランドに対するグローバル認知を変えることは、容易ではなく、速度も緩やか。しかし、マイナス要因を理解したり、前向きなコミュニケーションをしたりすることによって、偏った古い認知を変えることができる」と説明している。

 

http://www.gfk.com/fileadmin/user_upload/dyna_content/JP/20171116_anholt.pdf