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英大学の研究チーム、海洋に漂うマイクロプラスチックを把握する新手法開発。蛍光染色法で色付けし、99%の存在を確認。大半が、家庭の包装用やプラスチック容器等が原因(RIEF)

2017-11-25 14:38:28

mico1キャプチャ

 

 海洋に漂う微細なマイクロプラスチック対策で、これまで存在の把握が困難だったマイクロプラスチックを蛍光染色によって、99%の存在を確認できる手法が開発された。英国ワーウィック大学の研究チームが確立した。

 

 特殊な染色法を開発したのは、同大学のGabriel Erni-Cassola氏と Dr. Joseph A. Christie-Oleza氏の研究チーム。マイクロプラスチックは20㎛(マイクロメートル)のサイズで、0.001mmという微細なもの。それが広い海洋に漂っているため、把握が困難とされてきた。特に、海面でのサンプル調査では把握しづらいことから、汚染の度合いへの評価が分かれていた。

 

 実際、これまでの研究では、海洋に漂うマイクロプラスチックの推定量のうち、見つけられるのはわずか1%程度でしかなかったという。しかし、今回の染色法によって、99%とほぼすべてのプマイクロプラスチックの存在が、蛍光顕微鏡を使って、識別できるようなるという

 

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 蛍光顕微鏡は生体または非生体試料からの蛍光・燐光現象を観察することによって、対象を把握できる。同手法によってマイクロプラスチックの識別が容易になると、他の自然物質との混同を避けることができるほか、実際の存在量の測定が容易になり、対策の効果等の判断にも活用できる。

 

 また今回の染色法の開発過程で検出したマイクロプラスチックの分析から、最も多いのは包装用のパッケージや食品パック用のプラスチック容器などに使われるポリプロピレン製であることがわかった。つまり、日常の我々の消費活動で使うプラスチック用品が、海洋汚染の原因となっているわけだ。

 

 開発したGabriel Erni-Cassola氏は「現在のサンプル調査方式は、人手に頼っており、しかも精度が極めて低い。この方法を用いることで、膨大なサンプルを短期間で分析・評価できるようになる。海洋中のマイクロプラスチックだけでなく、あらゆる環境サンプルに応用が可能だ」と指摘している。

 

 共同開発者のJoseph A. Christie-Oleza氏も「これまで99%のマイクロプラスチックの存在が不明だった。今回の方法をさらに改良していくことで、プラスチック廃棄物をどうやって適正管理するかという将来の政策に生かすことができる」と述べている。

 

 論文は 「Environmental Science & Technology」誌に掲載された。

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.est.7b04512