豪グレートバリアリーフ、温暖化による海洋温度上昇で白化したサンゴ礁回復で、卵から孵化させたサンゴの定着100カ所以上で成功(RIEF)
2017-11-29 00:09:33
温暖化の影響でサンゴ礁の広範囲での白化現象が広がっているオーストラリアの世界遺産(自然遺産)のグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)で、サンゴを卵から孵化して付着させる試みが成功した。
(写真は、サンゴ再生事業に取り組むPeter Harrison教授)
オーストラリアのニューサウスウェールズ州のサザンクロス大学のPeter Harrison教授が研究チームを率いて実施しているサンゴ再生事業だ。チームは昨年11月、ヘロン島のサンゴ礁周辺で、孵化させて回収した100万以上のサンゴの卵を拡散させた。その結果、サンゴ礁に100以上の群生の定着と成長が確認されたという。
Harrison教授は「すごい成果だ。興奮している。この新たな研究の成功は、グレートバリアリーフの再生につながるだけではなく、世界の主要な地域でも活用できる。結果は明瞭で、サンゴの卵を高い集積度で孵化させれば、高い確率で再生することを証明した。グレートバリアリーフが抱える諸問題のいくつかに対する回答にもなるだろう」と述べている。
今回の研究活動にはオーストラリア政府が資金面でサポートし、サンゴの卵を収集し、孵化する技術の連携化などの実現に貢献した。
グレートバリアリーフは、クィーンズランド州の沖合に広がる長さ2600km(1,600マイル)、面積は344,400km2以上という海域に、2,900以上の暗礁や群礁などと約900から成る島を含む。1981年に世界資産に指定されている。
しかし、気候変動の継続の影響で、海洋の気温が上昇、広範囲にわたってサンゴが死ぬ白化現象が広がっている。昨年は、700kmに及ぶ調査の結果、浅い沿岸部のサンゴの67%が大量死したことがわかった。原因としては、温暖化の影響に加えて、周辺都市からの汚染物質の流出による影響なども指摘されている。