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温暖化の進行で漁場としても注目される北極海。国際的な漁業管理体制ができるまで、商業漁業を全面禁止へ。米ロ、日本など関係10カ国・機関が「歴史的合意」(各紙)

2017-12-04 18:15:43

Arcticcouncilキャプチャ

 

 各紙の報道によると、米国、ロシアなど北極海沿岸国と日本、欧州連合(EU)など合計10カ国・機関は3日までに、地球温暖化の影響で海氷が解けて海洋面が広がり続ける北極海中央部の公海での商業漁業を禁止することで大筋合意した。国際的な管理体制が整備されるまでの措置で、当面16年間禁止する方針。

 

 合意したのは、米、ロシア、ノルウェー、デンマーク、カナダの北極海沿岸5カ国のほか、漁業が盛んな日本、中国、韓国、アイスランド、EU。11月30日まで米ワシントンで開いた協議で話あった。関係者は「歴史的合意」と評価している。

 

  北極海の大部分では国際機関による資源の保護・管理体制が確立していない。このため、将来の安定的な資源確保の上でも漁業禁止が必要との認識で一致した。来年2月に、協定の文案を最終的に決める会合を米国で開く予定。EUの欧州委員会によると、協定は10の国・機関による署名、批准後に発効する。

 

 対象海域はほぼ地中海の広さに相当する約280万㎢。北極周辺では温暖化の進行が早く、広大な範囲で氷の溶解が進行している。近年の北極海中央部では夏季に海表面の氷の約4割が解け、漁業可能海域が拡大している。

 

 北極海はタラやカレイなどの漁場として知られるが、北極海中央部については現時点で漁業を行う国はなく、魚種や資源量が不明で、関係国は今後調査する方針。

 

 北極海沿岸8カ国で構成する北極協議会(AC: Arctic Council)のうち、漁業を実施する5カ国が2015年7月、国際的な資源管理の枠組みができるまで北極海公海で商業漁業を控えることで合意。その後、ACにオブザーバーの形で参加しちる日中韓やEUなども協議に加わり、今回、大筋での合意が成立したという。

https://www.arctic-council.org/index.php/en/