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厚労省・農水省 ミツバチに有害な農薬「ネオニコチノイド系スルホキサフロル」の使用を承認。欧米より緩い基準で(RIEF)

2017-12-27 14:50:47

mitsubachiキャプチャ

 

 厚生労働省と農水省は、ミツバチに有害な農薬として国際的に問題にになっているネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルの食品中の残留基準値を設定、ダウ・アグロサイエンスなど3社の6種類を農薬登録した。これに対して、環境保護団体や有機農業団体などが「生態系保護に反する行動」と強い批判の声をあげている。

 

 殺虫剤スルホキサフロルは、ミツバチへの毒性が強いことが知られr、製造元のダウ・アグロサイエンス社のあるアメリカでは養蜂家らが裁判を起こし、一時認可が取り消された農薬。米国での承認取り消しを受けて、厚労省の残留基準値を審議する薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会)での承認作業は中断していたが、米国での再登録を受けて2017年2月、審議を再開していた。

 

 厚労省の残留基準値に関する意見公募(パブリックコメント)は2回行われ、1回目に537件、2回目には386件の意見が寄せられた。意見の多くが承認に反対を表明していたという。今年5月には、反農薬東京グループなど4団体で構成する「ミツバチと子どもをまもる実行委員会」が約8千筆の承認反対署名を提出していた。

 

 グリーンピース・ジャパンは、「私たち消費者や養蜂家、科学者を含む市民は、1000件以上のパブリックコメントや約8千筆の署名を通し、厚労省に対して危険な農薬はいらないと何度も訴えた。今回の決定は、その市民の度重なる声や科学的意見を無視するもので、容認しがたい」と批判声明を出した。

 

 厚労省が審議を再開した理由とした米国のスルホキサフロルの再登録では、かんきつ類やウリ科野菜(キュウリなど)への使用禁止、リンゴやナス科野菜(トマトなど)への開花期の使用禁止を条件としている。ところが日本では、米国と農薬の使い方が違うとして、開花期規制などを盛り込んでいない。 またEUはウリ科の一部とナス科野菜へは1 回のみの使用に限定している。しかし厚労省審議会では、こうした点は問題とされず承認された。

 

 残留基準値では、白菜、ブロッコリー、コマツナ、レタス、ホウレンソウなど、消費者がよく食べる葉もの野菜の残留基準値が6ppmと、高く設定されている。

 

 2018年9月からネオニコチノイド系農薬の使用禁止を決めたフランスでは、スルホキサフロルは協議のネオニコチノイド系ではないとして登録されたが、行政裁判所は今年11月に環境NGOの訴えを認め、一時差し止め命令を出している。

http://organic-newsclip.info/log/2017/17120875-1.html

http://www.acis.famic.go.jp/searchF/index/20171225.html

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/1225-2.pdf#page=14