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広がる中国の廃プラスチック輸入禁止措置の影響。英国の冷凍食品チェーン「アイスランド・フーズ」が、プラスチック包装を5年がかりで紙包装に切り替え宣言(RIEF)

2018-01-18 01:01:28

 

  英国の冷凍食品販売のチェーン店を展開しているアイスランド・フーズ(Iceland Foods)は、自社ブランド商品のプラスチック包装を2023年末までに全廃する、と発表した。「プラスチックをフリーズ(凍らせる)」をキャッチフレーズに、海洋汚染などの元凶になっているプラスチック廃棄物減少を実践する。同社は「小売り大手では世界初の試み」とアピールしている。

 

 同社は、冷凍食品等の販売で、全英で900店舗のスーパーなどを抱えている。今回、環境団体などと連携し、今後5年をかけて、約1400種類にのぼる自社ブランド商品の包装材をプラスチックから、紙とパルプ材を使った再生可能な包装材に切り替える計画を打ち出した。

 

 同社は英国での小売り販売シェアは2%程度だが、毎年、英国のスーパーなどから排出されるプラスチック容器の廃棄物は100万㌧に上るとされる。それらの減量化の先駆的試みとなる。開発する新包装材は、紙とパルプのトレイで構成され、国内の廃棄物回収システムで再生される。

 

ICELANDキャプチャ

 

 同社によると、英国の消費者調査(5000人対象)の結果、80%の消費者がプラスチック包装材の廃止を支持し、91%はプラスチック包装を廃止するスーパーでの買い物を重視すると答えている。また、68%はアイスランドの方針に他の小売店が追随することを期待するとしている。

 

 アイスランドはすでに、飲料用のプラスチック製使い捨てストローを、自社ブランド品では使用禁止にしている。また食品を並べる陳列棚のトレイも、2018年から従来のプラスチック製ではなく、紙製のものに置き換える予定という。

 

 同社社長のRichard Walker氏は、環境配慮を重視する経営者として知られている。「世界は、プラスチックの負の側面に、ようやく気づき始めた。プラスチックの日常の無制限な使用が、海洋環境を汚染し、結果として人類の健康にまで影響を及ぼしている。その負荷は小売業の肩にのしかかっている。われわれこそが、この負の側面に対応しなければならない」と強調している。

 

ICELAND2キャプチャ

 

 同様に、欧州連合(EU)も先ごろ、欧州で使用されるプラスチック製の包装材を2030年までにすべて再生利用可能なものとする環境汚染対策計画を発表した。コーヒーカップなどの使い捨てプラスチック製品の使用を段階的に廃止する計画も明らかにしている。http://rief-jp.org/ct12/76030

 

 ブレグジット(英国のEU離脱)交渉では火花を散らせている英国とEUだが、プラスチックごみの減量化・リサイクル化では、足並みをそろえた感じだ。その背景には、これまで欧米日諸国から廃プラスチックを大量に輸入していた中国が、昨年末で、原則輸入禁止策を打ち出した影響も大きい。http://rief-jp.org/ct12/75989

 

 英国はこれまで毎年、約50万㌧のプラスチックごみを中国に輸出してきた。しかし、今年から中国が輸入を禁止したことで、メイ政権は、今後25年でごみを極力なくす方針を打ち出している。

 

 アイスランドの脱プラスチック宣言に対して、環境NGOの英グリーンピースは歓迎している。代表のJohn Sauven氏は「プラスチックごみを減らす唯一の方法は、小売業者がプラスチック容器に代えて、リサイクル可能な紙や、ガラス、鉄、アルミなどの他の代替製品に切り替えることだ。アイスランドがその挑戦を宣言したわけだ。他の小売業や食料品店も、フォローすべきだ」と述べている。

 

http://about.iceland.co.uk/wp-content/uploads/2018/01/Iceland-aims-to-be-plastic-free-across-own-label-range-by-2023-16.1.18-1.pdf