HOME |世界の「終末時計」今年は、30秒進んで「残り2分」に。米誌による「2018年の終末時計」公表。第二次大戦後の米ソ対立時に並ぶ危機の高まり(RIEF) |

世界の「終末時計」今年は、30秒進んで「残り2分」に。米誌による「2018年の終末時計」公表。第二次大戦後の米ソ対立時に並ぶ危機の高まり(RIEF)

2018-01-26 10:26:50

minuteキャプチャ

 

 米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ(Bulletin of the Atomic Scientists)」は25日、人類による地球破壊までの残り時間を示す「終末時計(Doomsday Clock)」が、トランプ米政権の登場等で、これまでより30秒進み、1953年と並ぶ過去最短の「残り2分」になったと発表した。

 

 同誌は、時計の針が終末に向かって進んだのは、トランプ大統領の登場で、核戦争の懸念の高まり、同大統領の行動の「予測不可能性」が深まったことなどを、理由にあげている。

 

 終末時計の評価は、国際関係・科学・環境・安全保障の各分野の識者で構成する同誌のScience and Security Boardが設定する。同誌は声明で「2017年、世界の指導者が迫り来る核戦争や気候変動の脅威に対し効果的措置をとらなかったことで、世界の安全保障状況は1年前よりも危険性が増した。これほど危険が高まったのは第2次世界大戦以来のこと」と指摘した。

 

minute2キャプチャ

 

 これまで、終末時計が午前0時までに「残り2分」という厳しい状況に迫ったのは1953年まで遡る。第二次大戦後、米国と当時のソ連が、戦後体制の覇権を巡って水爆開発競争に走り続けた年だった。現在の危機増大は北朝鮮のミサイル実験のほか、中国、インド、パキスタン等が各戦力を増強しているほか、トランプ政権によるイスラエル支援の強化による中東情勢の不安定性も、世界全体の不安要因となっている。

 

 一方で、昨年7月、国連で採択された核兵器廃絶条約の発効を巡っては、被爆国の日本が署名しないなど、各国の足並みがそろわないという状況にある。

 

 同誌のレイチェル・ブロンソン(Rachel Bronson)社長兼最高経営責任者(CEO)は「緊急性が高まっている。われわれは手を合わせて、2019年の『終末時計』が平和の方向に巻き戻るために必要な行動をとらなければならない。今が行動の時だ」と指摘している。

 

https://thebulletin.org/

https://thebulletin.org/2018-doomsday-clock-statement