HOME12.その他 |アジア・太平洋海域のサンゴ礁に大量のプラスチックごみ。その数、110億個。細菌付着の温床。白化等の病気の原因に。米コーネル大学等の研究チームが論文(RIEF) |

アジア・太平洋海域のサンゴ礁に大量のプラスチックごみ。その数、110億個。細菌付着の温床。白化等の病気の原因に。米コーネル大学等の研究チームが論文(RIEF)

2018-01-28 22:26:19

praキャプチャ

 廃プラスチックの海洋汚染の広がりが問題化しているが、アジア太平洋地域の海でサンゴ礁に引っ掛かったプラスチックごみが推計で110億個に上り、付着した細菌などでサンゴに病気が広がっているとの調査結果が報告された。米コーネル大などのチームが26日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 

 研究論文は「Plastic Waste Associated with Disease on Reefs」のタイトル。調査は同大学のポストドクター・フェローのJoleah Lamb氏が中心になって行った。他に、ワシントン大学、ハワイ大学、オーストラリアのジェームス・クック大学、環境NGOの「 Environmental Defense Fund」、「Nature Conservancy」などの研究者らが参加した。調査対象海域はインドネシア、オーストラリア、タイ、ミャンマーの8海域を選び、159のサンゴ礁を調べた。

 

 その結果、ほぼ12万5000カ所のサンゴ礁が組織の崩壊や白化、黒帯病などの病変の原因となっていることを確認したという。これらの変異の要因となったサンゴ礁に引っかかった廃プラスチックは、オーストラリアの海域の場合、100㎡当たり平均0.4個で、インドネシアの場合、25.6個、それぞれ見つかった。

 

 これらの数字をベースに推計すると、年間、海洋に投棄されるプラスチックのデブリ(廃棄物)は、480万~1270万㌧に上ることがわかった。廃プラスチックは、サンゴ礁に引っかかると、病変は4%から89%へと20倍も増大するという。

 

pra2キャプチャ

 

 さらにアジア太平洋地域の海域全体で推計されるサンゴ礁に引っかかっている111億個のプラスチック・デブリは、今後7年間の間に、40%以上増の、およそ157億個に増大するとみられる。

 

 Lamb氏は「プラスチックは、サンゴ礁に接触すると、組織改変や病気を引き起こす微生物を運ぶ理想的な運搬船の役割を果たしている。いったんサンゴ礁がこれらの病気にかかると、組織全体が冒され、回復できない」と影響の深刻さを指摘している。

 

 サンゴ礁に引っかかる廃プラスチックは、ペットボトルのフタや歯ブラシのようなポリプロピレン製のものが多く、バクテリアにとっては好都合な「住み家」になっているケースが多いという。

 

pra3キャプチャ

 

 研究チームのシニア格のDrew Harvell教授は「今回の調査で、プラスチック汚染がサンゴ礁を殺していることが明らかに示された。われわれの目標は、被害を測るよりも 、解決法を探すことに集中したい。われわれは温暖化の影響を短期的に止めることはできないが、今回の研究の成果によって、各国がプラスチック汚染削減の方向に製作を切り替えることを期待している」と述べている。

 

http://science.sciencemag.org/content/359/6374/460.full