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NTT、自然界で分解する無害な電池開発、その名も「ツチニカエルでんち」。IoT時代のセンサー・電池多様利用でも環境に優しく(RIEF)

2018-02-22 17:02:06

NTT2キャプチャ

 

 日本電信電話株式会社(NTT)は、IoT(モノのインターネット)化で生活・社会の各所で電池の使用が広まる中で、使用済み後も環境に無害な低環境負荷の電池を開発した。名付けて「土に還る電池(ツチニカエルでんち)」。電池部分が肥料成分・生物由来材料から出来ている。NTTでは今後、半導体技術にも応用して「ツチニカエルセンサー、回路」の開発にもつなげたいとしている。

 

  IoT時代と喧伝され、1兆個のセンサーが社会システムの隅々に配備されるとの明るい未来像が語られる。だが、それらのセンサーを使用後に回収・交換できるのかという点には、十分な配慮の目が届いていない。NTTでは、大量のセンサーや電池の展開を踏まえると、従来のような回収・再利用の3R型対応ではエコシステムを守れないとみている。そこで、センサーや電池がそのまま放置されても、土壌や生物等に影響を与えない無害なように、今回の電池を考案した。

 

 「ツチニカエルでんち」は、電池部材の正極に生物由来材料を、負極と電解液には肥料成分を利用する。また従来の電極は、結着剤によって粉末状のカーボンを固形化した構造にしているが、結着剤はフッ素系樹脂等で、燃焼時に有害ガスが発生する。そこで、今回、生物由来材料に前処理を施して同様のカーボン化を実現し、結着剤不要のカーボン電極を生み出した。

 

 新開発の電池は、測定電流1.9mA/cm2において、電池電圧1.1Vを実現した。これらの電池を数個直列につなぎ、市販BLE(Bluetooth Low Energy)の温度センサモジュールに接続したところ、センサモジュールからの信号を受信して電池が動作することも確認できたという。

 

NTT3キャプチャ

 

 電池が万一、自然界に放置された場合の影響を調べるため、使用済み電池を粉砕し,土壌に混合する実験を行った。その土壌での小松菜の発芽状態を評価する肥料検定法に基づく植害試験である。その結果、新電池は、従来型の電池と異なって、小松菜が普通に発芽するという結果が得られた。「土に還った」のである。

 

 NTTはこの新電池のコスト等については明らかにしていない。今後、電池の性能向上をさらに高めるとともに、半導体技術を活用して、「土に還るセンサー・回路」を実現したいとしている。

 

 もっとも、自然に無害とはいっても、放置せずに回収すれば、資源の有効活用になることは変わらない。回収しづらいところへの使用の場合は、やむをえないが、極力、リサイクルの仕組みを活用したほうがいいような気もする。「ツチニカエル」が「ズボラニナル」に転じないようにしてもらいたい。

http://www.ntt.co.jp/news2018/1802/180219a.html