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建設アスベスト訴訟、東京高裁が建設作業員に加えて、「一人親方」の被害も初めて認定。総額22億8000万円の賠償金支払いを国に求める(各紙)

2018-03-18 00:22:50

asbestos1キャプチャ

 

  各紙の報道によると、建設現場でアスベスト(石綿)を吸い、肺がんや中皮腫などを患った首都圏の元建設作業員と遺族合計354人が国と建材メーカー42社を相手に、総額約120億円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(大段亨裁判長)は14日、一審に続いて国の責任を認め、「一人親方」と呼ばれる個人事業主を含めて327人に約22億8000万円を支払うよう命じた。メーカーの責任は認めなかった。

 

  訴訟は「東京第1陣集団訴訟」。一審の東京地裁判決は2012年12月に原告勝訴となっている。一審では170人に約10億6000万円の賠償を命じたが、控訴審はそのほぼ倍の原告と賠償額を命じており、国の責任を一段と明確にした形だ。

 

 全国各地で14件が提起されている「建設アスベスト訴訟」の判決は、ほぼ国の賠償責任を認めてきた。高裁判決は2件目。今回の控訴審では、企業などに雇われている労働者以外の「一人親方」への国の責任も初めて認めた。

 

 これまで国側は、一人親方は労働安全衛生法の定める「労働者」ではなく、賠償責任を負わないと主張していた。しかし、大段亨裁判長は「一人親方が建設現場で重要な地位を占めている社会的事実を考慮すれば、保護の対象にするのが相当」と指摘した。

 

 判決はさらに「国は遅くとも1975年10月以降は防じんマスクの着用を明確に義務付けるべきだった。規制を怠ったのは違法だ」と述べ、国が責任を負う時期についても一審よりも広く認定した。国は石綿含有製品の製造・使用を原則禁じた法令改正がされた前月の2004年9月まで、吹き付けを行う屋内作業員に防じんマスク着用などの対策を義務付けなかった。

 

 一方、メーカーの責任については、一審と同様、賠償責任を否定した。ただ、昨年10月の東京高裁判決は、建材シェアなどからメーカー4社の責任を認める判決を出している。国の責任の明確性は増したが、メーカーの責任については、東京高裁内でも判断が分かれる形となった。

 

 「国の責任」を指摘されたのは厚生労働省。同省は報道に対して「主張が認められなかった点もあり、厳しい判決と認識している。内容を十分検討し、関係省庁とも協議して対応したい」とコメントしている。

 

 判決後に、記者会見した元電気工で一人親方の宮島和男原告団長(88)は「多くの仲間が亡くなる中、一人親方が救済された。4年前に亡くなった妻も喜んでくれると思う」と判決を歓迎する発言をした。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018031502000149.html

https://mainichi.jp/articles/20180315/ddm/012/040/045000c