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「経団連に入っている意味もないしね、正直言って」三木谷浩史楽天会長兼社長が檄白(日経BP)

2012-02-20 11:40:41

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 僕が日本経団連を辞めたきっかけね。もともとなぜ経団連に入ったのかを振り返る必要があります。奥田碩元会長(トヨタ自動車元社長)に誘われたのが直接のきっかけでした。当時は小泉純一郎政権下。経団連は改革の旗手を担う組織でした。ただ、その後、会長が奥田さんから御手洗さん(御手洗冨士夫・キヤノン会長兼社長)に代わり、それからまた米倉さん(米倉弘昌住友化学会長)になるにつれ、どんどん風向きが怪しくなっていった。

 辞めようと思った直接的なきっかけは、やはり震災後です。経団連は(電力の)発送電分離の話が出たときには早々に反対し、原子力発電所については早々と賛成であると表明した。「多分経団連ってそういうために作られたんだな」とその時、初めて分かりました。

 経団連が言っていることがあたかも経済界の統一見解のように言う。だから僕は「そんなことないよ」と世の中にはっきり言いたかった。違う意見だってあるんだよ、ということですね。

「経団連は日本企業の護送船団方式を擁護する団体」


 

 ツイッターで退会をほのめかしたのは確信犯。全く入っている意味もないしね、正直言って。経団連は日本企業の護送船団方式を擁護し、これが世の中の共通認識だとカムフラージュするために作られた団体なんですね、そもそもが。そこはたぶん経済同友会とは違うんだと思うんですよ。

僕はあまり深く考えていなかったんですけど、今回の一連のことがあっていろいろよく考えてみると、ああ、そういう構造なんだな、これはと。要するに政官財の構造の一角。いや、中核なんですね。

 経団連を辞める時には仁義を切りました。諸先輩方の元に一人ひとり全部回りました。すると、みんな口を揃えて「その通り」だとか「いいね」と言う。けど辞めたのは結局僕1人。呆れましたよ、結局本当に反対したのは1人だけかと。まぁ、そんなものですよね。よほど強烈な人を会長に持ってきて、方向性を明確にしなければ今の経団連は変われないでしょうね。

 日本はもう一度海洋国家にならんといかんと思うんです。どんどん日本人も出て行ってね。僕たちは国際化しているとともに、日本のいいところを海外に広めるんだと。イングリッシュナイゼーション(英語化)もするけど、子会社のジャパナイゼーション(日本化)もするんだ、ということだと思うんですよ。

経団連はもうみんな年齢だけじゃなく考え方も古い。最新テクノロジーのこの先に何があるのかとか、産業は今後こうなるべきだとか、本当に議論すべきはそういうことじゃないでしょうか。

「グリーがプロ野球に入ろうとしても反対する」


 

 ディー・エヌ・エー(DeNA)の球団参入に反対した理由はすごくシンプルですよ。モバイルゲームという射幸心をあおるサービスを野球の球団名でプロモーションするのはよくないんじゃないかと。基本的にはそれだけです。

 少年野球だって「少年の育成」を主眼にしている。僕はグリーの田中良和社長が(野球界に)入るといっても反対しますよ。ええ、反対します。

 僕も自分の息子が少年野球を始めたときに分かったんだけど、子供たちはプロ野球選手に異常なあこがれを抱いている。モバイルゲームは子供でもできてしまうんです。

(DeNA側から)一度、会いに来たいと言ってきたけど会ってません。別にもう終わったことだからいいんですが、今後も球団名の変更といった話が出てくるでしょう。楽天自身、野球の恩恵にあずかっているのであまり偉そうなことは言えませんが、やはり野球を使ってプロモーションするのはクライテリア(基準)が必要なんじゃないかなと思うんです。

 基本的にはビジネスそのものを否定する気もないし、それはそれでやればいいと思う。ただ、野球の球団名でプロモーションするのだけは止めてほしいですね。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20120216/227263/?P=2