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欧州委員会、プラスチック汚染対策で、EU全域での使い捨てプラスチック製品の使用禁止と、2025年までのプラスチックボトルの9割回収を法制化提案(RIEF)

2018-05-29 15:58:49

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 欧州委員会は28日、プラスチック汚染の拡大を防止するため、使い捨てのストロー、フォークやスプーンなどの食器類、綿棒などのプラスチック製品の使用禁止と、加盟各国に対して、使用済みのプラスチックボトルの回収率を、2025年までに90%に引き上げる求める法的措置を提案した。

 

 欧州委員会の提案は、欧州議会と加盟各国で構成する閣僚理事会の承認を得た後に、法制化される。欧州委員会副委員長のFrans Timmermans氏は、「プラスチック廃棄物問題は、疑いもなく大きな課題であり、欧州は一体となってこの問題解決に取り組む必要がある。プラスチック廃棄物は、われわれの大気、土壌、海洋、そして食物の汚染につながるからだ」と対策の緊急性を強調している。

 

 使い捨てのプラスチック製品の使用禁止案は、4月に英国政府も提案、英連邦首脳会議で各国に呼びかけている。http://rief-jp.org/ct12/78706 EUは、こうした各国の取り組みを受けて、EU全体で歩調を合わせた規制体系を整えることになる。

 

使い捨てカップをエサと間違えるウミガメ
使い捨てカップをエサと間違えるウミガメ

 

 今回、禁止対象として名指しされたのは、プラスチック製のフォークやスプーン、お皿、ストロー、マドラー、そして風船を持つ際に利用するプラスチック製の持ち手など。飲食店で使用する飲み物用のプラスチック製カップ、持ち帰り用の食品容器なども使用が抑制される。法制化されると、これらの製品は、サステイナブル(持続可能)素材への転換が求められる。ただ、欧州委員会は、禁止開始の時期については明言しておらず、法制化の段階で欧州議会、各国の調整で決まることになる見通し。

 

 法制化が決まると加盟各国は、自国での規制法案を整備することになる。市場に出回っているプラスチック製品の使用禁止措置に加えて、代替製品の開発促進や普及活動が必要になる。プラスチック製品の製造メーカーは、すでに廃棄されている膨大なプラスチック廃棄物処理費用の一部負担と、処理対策への協力が求められる見通しだ。対象となる製造業者は、プラスチックバッグ、ラップ、タバコのフィルター、スナック菓子のパッケージ、ウエットワイパー、釣り具なども含まれる。

 

 海岸に散乱するプラスチック廃棄物の27%は釣り具のギアなどで、釣り具製品業者はそうした回収費用を負担することになる。

 

 すでにドイツ政府は、欧州委員会の発表の前日27日に、環境大臣のSvenja Schulze氏が、「使い捨てプラスチック製品は欧州全体で規制し、市場から退出させるべきだ」と指摘、委員会の規制案を全面的に支持する姿勢を打ち出している。ドイツは、使い捨てペットボトルの回収手法として、ボトルの購入者に対して預託金(デポジット)を価格に上乗せし、ボトル回収後に返金する「デポジット制度」を導入している。

 

 今回の規制に対して、欧州委員会が実施した市民、関連企業向けコンサルテーションでは、EU市民の95%という圧倒的な割合で、規制について「必要かつ緊急を要する」との支持意見を示している。また製造業者の75%、ブランド業者の80%も、同様に「必要性と緊急性」を認め、72%はプラスチックの使用を減少させるとの回答を寄せている。

 

 プラスチック汚染問題は、EUだけの問題ではなく、地球温暖化問題と同様のグローバル課題だ。太平洋でのプラスチック廃棄物問題は深刻な状況に陥っており、日本政府もアジア各国をリードする形で、廃棄物の減少、既存廃棄物の処理回収に取り組むことが求められる。

 

http://europa.eu/rapid/press-release_IP-18-3927_en.htm

http://www.dw.com/en/eu-commission-plans-ban-on-plastic-waste/a-43949554