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カナダでのG7首脳会議、海洋汚染問題対応で「海洋ブループリント」採択。プラスチックごみ対応や沿岸部の強化等。欧州・カナダ主導の「海洋プラスチック憲章」には日米が不参加(RIEF)

2018-06-12 22:56:34

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 先週末、カナダのシャルルボワで開いた先進7カ国首脳会議(G7)は、プラスチック等による海洋汚染問題に対応するため「健康な海洋、海、沿岸コミュニティの活性化のためのブループリント」を採択した。プラスチック海洋汚染問題での合意は4年連続。この「青写真」を受け、欧州とカナダの5カ国首脳は、2030年までにすべてのプラスチック製品を再利用、リサイクル、あるいは生分解性に切り替えること等を宣言する「海洋プラスチック憲章」を打ち出したが、日米は不参加となった。

 

 「海洋ブループリント」では、海洋・海の健康の維持は、経済、社会、そして地球の環境面での健全性に重要であるとの認識で一致。海洋がグローバルな気候システムに影響を及ぼす基本的な役割を果たすほか、人間の日常生活、雇用、家計、食料の安全性、健康、生物多様性、経済の繁栄、そして人々の生き方自体も支えていることを強調している。

 

 しかし、海洋は、IUU(違法・無報告・無規制)漁業の横行や、過剰漁獲等によって、海洋資源の絶滅の危機や食料資源の確保が脅かされている。これに加えて、プラスチックごみの増大等による海洋汚染が、すでに打撃を受けている海洋生態系に負荷をかけている。特に、小規模な発展途上の島嶼部諸国(SIDS)の受ける影響は大きい。

 

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  G7首脳は、こうした問題意識を共有し、各国政府のあらゆるレベルで、効果的で革新的な解決法を開発することが重要であると強調した。さらに、問題解決のために、民間セクターや国際機関、市民組織等とともに、あらゆるレベルでの協力的パートナーシップを促進し、特に影響を受けている特定地域、先住民族、遠隔地の沿岸地域や小規模島嶼諸国等と共同して行動する。こうした協力体制の推進には、女性や若者たちの関与とリーダーシップを促進するとしている。

 

 具体的取組としては、①沿岸部の耐久性向上と沿岸地域コミュニティの活性化②科学とデータに基づく海洋知識の普及③持続可能な海洋と漁業④海洋プラスチック汚染と海洋ゴミ対策、の4項目をあげている。

 

 このうち、①については、(a)より良い適応計画と緊急時の準備と回復計画の支援(b)沿岸部強化等のための革新的な金融手法の支援(c)沿岸地域の総合的なマネジメントの能力をスケールアップするため、G7が共同で地球観測技術と関連する応用技術を展開すること、などをあげた。

 

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 廃プラスチックなどの海洋汚染問題では、2015年以降のG7でのコミットメントを発展させるとともに、プラスチックをより資源効率的に、持続可能な形での管理することを、陸上でも海洋でも、ライフサイクルベースで推進する「プラスチック・スチュワードシップ」のアプローチをとる、と宣言した。

 

 さらに、国連環境計画(UNEP)が取り組んでいるように、海洋ごみの観測方法の調和と、その影響の共同研究を促進していくことも盛り込んだ。こうした共同取り組みについて、担当大臣たちによる次のハリファックス会合でさらに深めるよう要請した、としている。

 

 「海洋プラスチック憲章」は、このブループリントの付属書として公開された。その内容には、2030年までに、すべてのプラスチック用品を、再利用可能あるいはリサイクル可能なものにするか、また対応策がない場合は、生分解性のものに切り替えるなどの形で、持続可能なデザイン、生産、リサイクル市場を育成することを目指すなど、5分野23項目の政策目的・対応を列記している。

 

 ただ、日米が憲章には合意せず、その実効性を担保する具体先については、今後の交渉に持ち越された。これらの海洋関連合意・イニシアティブと連動する形で、G7は「公衆関与文書(PE)」として、気候変動、海洋汚染、クリーンエネルギーの3分野を「公共対話」のグローバルテーマと認定する文書を発している。http://rief-jp.org/ct4/80073

 

https://g7.gc.ca/en/official-documents/charlevoix-blueprint-healthy-oceans-seas-resilient-coastal-communities/