HOME |ネオニコチノイド系農薬使用継続の根拠は? 農水省が理由とする「消費者の選択」を、グリーンピースが生協調査で検証。「消費者クレーム」はほとんどないことが判明(RIEF) |

ネオニコチノイド系農薬使用継続の根拠は? 農水省が理由とする「消費者の選択」を、グリーンピースが生協調査で検証。「消費者クレーム」はほとんどないことが判明(RIEF)

2018-06-21 14:20:05

nenikochi1キャプチャ
 環境NGOグリーンピース・ジャパンは、EUがミツバチへの毒性が強いネオニコチノイド系農薬の屋外使用を年内に全面禁止することを決めた一方で、国内では水田等に使われ、農林水産省も規制使用としていない問題で、全国の地域購買生協(6連合会を含む24生協)を対象にした調査結果を発表した。それによると、農水省が理由とする斑点米(黒い点のある米)の出現についての消費者クレームはほとんどないという実態が明らかになった。グリーンピースは、日本でもネオニコチノイド系農薬などの空中散布の禁止等をとるよう提言した。

 

 生協への調査は、今年3月から5月にかけて、農産物検査法とネオニコチノイド系農薬の水田への散布に関するアンケート調査を実施した。それによると、農産物検査法が定める斑点米(黒い点のある米)の基準が、ネオニコチノイド系農薬の使用をやめられない要因になっていることが判明した。農水省が斑点米に厳しい基準を設ける理由は、斑点米が消費者からの主なクレーム要因だからとしているが、今回の調査から、斑点米への消費者クレームはほとんどないことが分かったという。

 

生協の回答によると、生産者がネオニコチノイド系農薬等の使用をやめにくい主な理由は、「米の出荷時の等級と価格が下がること」が最多で、消費者のクレームよりも、斑点米の混入上限規程の厳しいことが農家の殺虫剤散布を促進している、と分析している。

 

 生協で販売する米に関する最も多い消費者クレームは、①虫の発生や混入(10生協)②異物(石・籾・糠玉)の混入(7生協)③「食味」、「着色米」、「特に無い」(各2生協)④袋の破損(1生協)、となった。

お米に関する生協の消費者のクレーム状況
お米に関する生協の消費者のクレーム状況

 

 また農家にネオニコチノイド系の農薬の散布をさせないための生協の試みとして、2連合会を含む13生協が「独自の取り組みがある」と回答した。具体的には「一等米と二等米を同じ価格で買い取る」が最も多く、7生協(1連合会を含む)、「同価格ではなくても価格差を独自で縮小」が3生協(1連合会を含む)あった。

 

 こうした調査結果を踏まえ、グリーンピースは提言をまとめ、農水省等に要請した。提言は、①消費者は斑点米を問題視しているとはいえず、斑点米対策のために、ネオニコチノイド系農薬などの殺虫剤の空中散布を継続すべきではない②農産物検査法の斑点米の厳しい混入上限規程は、ミツバチ被害や色彩選別機の普及を考慮すれば不合理といえ、緩和する必要がある③農水省は、養蜂家と農家の無意味な負担を軽減し、消費者に安全な米を届け、生態系や人の健康を守るために斑点米の厳しい規程を緩和し、殺虫剤散布をしない選択肢を農家に提供すべきだ、などが内容。

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2018/pr20180619/