HOME12.その他 |「赤いサングラス」をかけた微生物の雪氷藻類「赤雪」、南極と北極で同種類と判明。風に乗って両極間を移動(?)。海氷や氷河の融解加速要因にも。日本の研究チームが発見(各紙) |

「赤いサングラス」をかけた微生物の雪氷藻類「赤雪」、南極と北極で同種類と判明。風に乗って両極間を移動(?)。海氷や氷河の融解加速要因にも。日本の研究チームが発見(各紙)

2018-08-07 00:26:53

nankyokuキャプチャ

 

    各紙の報道によると、雪や氷河を赤く染める「赤雪」現象を引き起こす微生物の雪氷藻類が、南極と北極で同じ種類であることが日本の研究チームの調査観測でわかった。両極は約2万km離れており、雪氷藻類の一部は風に乗り、両極間を飛び交っている可能性が高いという。また赤い色素は、強い光でDNAが傷つくのを防ぐため、サングラスのように紫外線をカットする役割を果たしている。

 

 

写真は、2015年1月、南極で数百㎡にわたって観測された「赤雪」=瀬川高弘・山梨大助教提供・共同)

 

 千葉大の竹内望教授(雪氷生物学)や山梨大の瀬川高弘助教(同)らの調査で分かった。研究結果を6日、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。

 

 研究論文では、チームは南北両極の氷河や積雪上で赤雪を収集。雪氷藻類の遺伝子を解析した結果、少なくとも22種の藻類を確認。このうち全体の個体数の9割以上を占める7種を両極において、検出した。

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 雪氷藻類は赤い色素を細胞内に蓄積して「赤雪現象」を世界各地で引き起こしている。赤い色素を蓄積するのは、強い日射光でDNAが傷つくのを防ぐために、サングラスのように紫外線をカットするためという。このため、大量に繁殖すると、雪全体を赤く染め、雪面時代が太陽光を吸収しやすくなる。そうなると、両極圏の氷河や氷床の融解を速める一因となることが知られている。

 

 南北両極で同種の雪氷藻類が確認されたことについて、竹内教授は雪氷藻類の一部が風に乗って、両極間を飛び交っている可能性が高い、としている。また「温暖化などの影響で赤雪がさらに広がり、中低緯度も含め、地球全体で氷河や氷床の融解が進む可能性もある」と警告している。

 

https://www.nature.com/articles/s41467-018-05521-w