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富士通 オーストラリアで自社のAIとドローンを使い、絶滅危惧種の動植物管理の実証実験へ。自然保護への貢献とともに、自然管理ビジネスへの応用の期待も(RIEF)

2018-08-10 23:51:35

 

 富士通は、自社の人工知能(AI)とドローンを、オーストラリアで絶滅が危惧される動植物の保護に活用する実証実験を始めた。このほど効果検証に成功した。従来のような、人手やヘリコプターなどを使う手法に比べ、費用を最大で10分の以下に抑えられる可能性があるという。9月から本格的な実証実験に入る。

 

実権に使ったドローン
実験に使ったドローン

 

 絶滅危惧種の植物の生体調査に取り組むのは、富士通オーストラリア(FAL)。このほど、同国ニューサウスウェールズ州(NSW州)における絶滅の恐れがある植物の生息を、AI技術を活用して特定する効果検証を実施した。NSW州の環境・自然遺産オフィス(OEH)の「Saving our Species」プログラムの一環で、「Digital Owl」プロジェクトと名付けられている。

 

 シドニーから北西に約250km離れたNSW州のThe Goulburn River National Park内の標高636mのMount Dangarの周辺にある低木林地帯で、絶滅危惧種のAcacia dangarensis、Senecio linearifolius var. dangarensisという2種の植物の生息確認調査に取り組んだ。

実権に使うドローンを搬出作業中
ドローンを搬出作業中

 

 今回の事前調査では、ドローン技術と富士通の高性能サーバおよびAIを使ったビデオ分析技術によって、広範な対象地域をビデオ撮影し、分析した結果、目的とする2種の植物の位置の特定に成功した。

 今回のドローンによる撮影データは、従来、ヘリコプターから人間が目視確認していた位置と状態などの既存データと、分析結果が一致した。このため同手法が絶滅危惧種の生息の特定に有効であることが検証できた、としている。

 今後の本格的な実験では、より多くの動植物の種類の特定を目指すため、富士通のAI技術「Zinrai」を用いてビデオ分析の精度向上を図る。異なる標高でドローン撮影を行い、様々な地域を調査することで、より多くのデータを蓄積し、AIに学習させるという。富士通の位置情報を活用したクラウドサービス「SPATIOWL」も動員する考えだ。

ドローンで撮影したデータを、AIを使って分析した概要
ドローンで撮影したデータを、AIを使って分析した概要

 

 

 富士通では、今回のプロジェクトで開発する技術やノウハウを、世界中の環境保護地域における有害な雑草の特定や位置確認、絶滅危機種の動植物の特定や観察等に適用することを目指すとしている。環境保護、自然保護に資すると同時に、将来の保護・管理ビジネスとしての発展も期待できる。

 NSW州環境大臣のGabrielle Upton氏は「わが州だけでも、およそ1000の植物および動物が絶滅の危機に瀕している。これらの保護は、NSW州の持続可能な生態系にとって極めて重要。だが広範な地域の管理にはヘリコプターのチャーター料金などで多くの費用がかかるが、ドローンとAIの活用で費用を抑えるとともに、より詳細で正確なデータを把握できる」と高く評価している。

 

http://pr.fujitsu.com/jp/news/2018/08/10-1.html