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仏、来年からリサイクル不可のプラスチック包装材の使用に罰金。2020年にはプラスチック素材のストローやカップなど全面的に使用禁止、2025年には「脱プラスチック国」に(RIEF)

2018-08-16 15:53:37

France2

 

 フランスは、廃プラスチックによる環境汚染を段階的に根絶するため、来年からリサイクルされないプラスチック製包装材を使った商品に、罰金を上乗せする方針を打ち出した。2020年にはプラスチック製ストローやカップ等の使用を禁止し、2025年までには国内で使用されるプラスチックを再生可能なものとし、「脱プラスチック国」の成立を目指すとしている。

 

 フランス政府は、すでに、スーパーマーケットでの使い捨てプラスチック袋の使用は禁止している。今回の規制強化はそれに続く。罰金加算によってリサイクルできないプラスチックで包装された商品のコストは、2019年には10%以上高くなる。また、ストローやカップ、皿などのプラスチック容器は「不必要(unnecessary)」で「代用可能(substitutable)」なものなので、2020年には使用を禁止する。

 

 プラスチックボトルについては、デポジット・リターン・システムを導入し、販売時に一定額を徴収する。また、リサイクル事業への税金を引き下げ、廃棄物の埋め立て事業への税金は引き上げる。リサイクルで再生したビンなどの色を国内で標準化する、などの施策を盛り込んでいる。

 

Brune Poirson, 仏環境移行省の副大臣
Brune Poirson氏, 仏環境連帯移行担当の副大臣

 

 フランスでは年間生産されるプラスチック製品のリサイクル比率は25%に過ぎない。2015年の調査では、毎年、800万立方トンのプラスチックが海洋に廃棄され、海洋生態系にダメージを与えているという。

 

 廃プラ根絶方針を打ち出したブリュヌ・ポワルソン(Brune Poirson)環境連帯移行担当副大臣によると、「プラスチックに対する宣戦布告だけでは十分ではない。フランス経済そのものを転換する必要がある」と述べている。「二つのボトルがあるとして、一つは再生プラスチックから製造され、もう一方がそうではない場合、人々が再生プラスチックボトルを選択できるように、より安くするということ」。

 

 フランスの大手スーパーマーケットの CarrefourやLeclercなどは、政府が想定する2020年のストローなどのプラスチック容器の販売禁止を、前倒しし、年内にも中止する方針を示し、利用者の理解を求めるという。ただ、代替可能なボトルや容器は切り替え可能だが、簡単に切り替えられないものもある。プラスチック容器メーカーのElipso federationのEmmanuel Guichard氏は、「ヨーグルト・ポットなどの場合、再生プラスチック容器がないため、対応が必要」と指摘している。

 

プラスチックに替えて、紙のストローも登場するフランスのカフェ
プラスチックに替えて、紙のストローも登場するフランスのカフェ

 

  NGOのplustic Soup FoundationのHarmen Spek氏は「リサイクルできないものに罰金を課すのは、人々の意識を変えるスタートとしては望ましい」としながらも、課題を指摘する。最大のハードルはEUの食品安全性規制だ、という。

 

 EU規制では、特に新鮮な肉や魚、日常食品などはプラスチック包装で直接カバーされており、これらの包装素材の代替品の確保は容易ではないためだ。食品安全基準は厳格で、Spek氏は「他の製品に切り替える余地がほとんどない」と指摘する。食の安全と、廃プラ減少との両立をどうバランスさせるかだ。

 

 別の環境団体の関係者は、「リサイクルは必要だが十分ではない。過剰包装や使い捨て容器などの使用をやめ、さらに厳しい対策を取ることが重要だ」と求めている。

http://www.foodingredientsfirst.com/news/penalty-unrecyclable-plastic-faces-10-percent-tax-increase-in-france.html