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下水に流したコンタクトレンズ、プラスチック汚染の大きな原因に。米国だけで年間歯ブラシ4億本分の廃プラスチックに相当。 米アリゾナ大学研究チームが推計(AFP)

2018-08-21 15:49:15

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  【8月21日 AFP】トイレや排水口に流される使い捨てコンタクトレンズが、海洋のマイクロプラスチック汚染の大きな原因の一つになっていると警告する研究結果が20日、発表された。

 

 米アリゾナ州立大学(ASU)の研究チームによると、コンタクトレンズとそのパッケージによって生じるプラスチック廃棄物の総量は米国だけで毎年、歯ブラシ4億本に相当するという。チームは米ボストンで開催の米国化学会(American Chemical Society)総会で今回の研究結果を発表した。

 ASUのバイオデザイン研究所(Biodesign Institute)環境衛生工学センターの研究者ロルフ・ハルデン(Rolf Halden)氏は、記者団に「これらは重大な汚染物質だ」と述べ、「毎年数十億個のレンズが最終的に米国の下水に流れ込む。重さにして年間2万キロ以上に及ぶ大量のコンタクトレンズが下水に流されているということになる」と指摘した。

 

 自身も成人後の生活の大半でコンタクトを装着してきたというハルデン氏は、使用後のプラスチック製レンズはいったいどうなっているのだろうと疑問を抱いたのがきっかけで、今回の研究を開始した。ハルデン氏による推算の結果、コンタクトレンズの廃棄物に加えて、約1300万キロに及ぶポリプロピレンがコンタクトのパッケージによって発生することが分かった。

 

 コンタクトレンズの利用者は、米国だけで約4500万人に上り、装着されるレンズの個数は毎年総計で130億個以上となる。ASUの博士課程学生で研究者のチャーリー・ロルスキー(Charlie Rolsky)氏によると、米国のコンタクトレンズ利用者を対象とした調査では、「利用者の15~20%がレンズを排水口やトイレに流していることが明らかになった」という。

 では、これらのレンズはどうなるのだろうか。

 

■食物連鎖の上位にまで達するマイクロプラスチック

 

 研究チームは、排水口やトイレに流されたコンタクトレンズを下水処理場まで追跡調査した結果、処理場でレンズは粉々になるが化学的に分解されるわけではないことを確認した。

 

 レンズが粉々になってできたたプラスチック粒子は、海に流入するか、下水汚泥の一部となる。汚泥は多くの場合、肥料として土壌に散布されるが、汚泥に混入したプラスチック粒子も、土壌からの流出水に運ばれて海に流入する。

 

 海に流入したマイクロプラスチック(微小なプラスチック粒子)は、小型の魚やプランクトンが餌と間違えて摂取する可能性がある。これらのマイクロプラスチックは消化されないため、食物連鎖の上位に位置する動物にまで達し、そして人の食べ物に混入する。

 

 ハルデン氏らは、コンタクトレンズを下水に流すと環境に悪影響が及ぶということに気付いていない人が多いと指摘する。そのため、今回の研究が、コンタクトレンズのメーカーに対する警鐘となるとともに、コンタクトレンズを他の固形廃棄物と一緒に適切に廃棄するよう促すメッセージとなることを期待している。

 

 今回の研究では、コンタクトレンズを適切に廃棄する方法をパッケージに表示して消費者に周知しているメーカーが1社のみであることも分かった。

http://www.afpbb.com/articles/-/3186667