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フランス、9月1日から、ネオニコチサイド系農薬5種類の使用全面禁止を実施。ミツバチ等の授粉媒介昆虫を守る。「未規制の日本」への非難高まる(RIEF)

2018-08-31 15:53:28

franceagfroキャプチャ

 

  フランスは9月1日から、ネオニコチサイド系農薬5種類の使用を禁止する。EUが今年4月に使用全廃(温室を除く)した農薬3種 (イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム)に加え、さらに2種類のネオニコチノイド系農薬のチアクロプリド、アセタミプリドの使用も禁止する。

 

 4月のEUの決定は、ミツバチに毒性の強い3種のネオニコチノイド系農薬について、植え付けから収穫まで温室内で栽培する場合を除いて、使用を禁止する内容。EUの投票では、加盟28カ国中、16カ国が禁止に賛成した。賛成国はEUの人口比で76.1%の国となる。

 

 フランスはこのEUが使用禁止した農薬3種類に加えて、2016年にフランスで成立した生物多様性法に基づき、2種類の農薬を使用禁止対象に追加した。EUでは、類似の作用をもつフィプロニルについては、2017年9月に農薬登録が失効している。ミツバチへの強い毒性をはじめ、水系や土壌を含む広範囲の生態系への悪影響が指摘されるネオニコチノイド系農薬等の規制が進んでいる。

 

 

 mitsubachiキャプチャ

 

 環境団体や養蜂業界などは、フランス政府の規制実施を高く評価している。一方で、穀物や甜菜などの農業関係者からは、効果的な代替農薬が不在、との抗議の声もあがっている。特に、ネオニコチサイド系農薬を規制していない非EU諸国からの農作物に対して競争上不利になるとの指摘もある。

 

 国連はこれまで、ミツバチや蝶などの授粉媒介機能を持つ昆虫が、グローバルレベルで絶滅の危機に瀕しているとして、警告を発してきた。ミツバチ等の減少による農業生産の低下は、世界中で14億人の農業人口と授粉に頼る穀物の4分の3をリスクに晒す、と指摘している。EU、フランスの対応は、こうしたグローバルな動きを受けた措置だ。

 

 

 今回のフランスの規制を受け、環境NGOグリーンピース・ジャパンは、「日本では、フランスで禁止となる農薬5種のうちの1種さえも禁止されておらず、食品への残留基準値も緩和傾向にある。ネオニコチノイド系農薬は、強い毒性に加え、残効性、浸透性により、ミツバチにとどまらず生態系及びヒトの健康への影響も警告されている。政府はただちに使用禁止をすべき」(関根彩子氏)と指摘している。

 

 また日本では、EUではすでに承認されていないジノテフランも水田などで大量に使用している。関根氏は、「水田での斑点米カメムシ防除など、消費者のみならず農家やからも必要性に疑問が呈されている用途にネオニコチノイド系農薬が大量に使用されている。農林水産省は、規制をしない理由として、EUとは農薬の使用条件が異なるためハチへのリスクも異なるとしているが、日本の独自の用法に合わせたリスク評価はしてない」と、日本政府の「不作為」を批判している。

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2018/pr20180831/