HOME4.市場・運用 |カナダ・ハリファクスでのG7環境・海洋・エネルギー相会議、「海洋プラスチック憲章」は日米の反対で再び採択できず(RIEF) |

カナダ・ハリファクスでのG7環境・海洋・エネルギー相会議、「海洋プラスチック憲章」は日米の反対で再び採択できず(RIEF)

2018-09-22 12:35:59

 

 カナダのハリファクスで開いていた主要7カ国(G7)環境・海洋・エネルギー相会議は、グローバルに広がる廃プラスチックによる海洋汚染や不法漁業問題等をテーマに議論した。その結果、低コストなごみ回収リサイクル技術開発や海洋汚染の調査手法の確立等を国際連携で取り組む合意文書を採択した。

 

 会議には日本を含むG7各国の担当大臣のほか、海洋国家のジャマイカ、マーシャル諸島、ナウル、ノルウェー、ケニア、シェ―シェル、ベトナムの各国も参加し、「健康な海洋と堅牢な沿岸コミュニティの構築(Healthy Oceans, Seas and Resilient Coastal Communities)」をテーマに意見交換した。

 

G7環境関連相会議を総括するカナダのマッケナ環境・エネルギー相(右)
G7環境関連相会議を総括するカナダのマッケナ環境・エネルギー相(右)

 

 20日採択された合意文書は、「健康な海洋」はグローバルな気候システムにおいて重要な役割を果たしているほか、沿岸地域の雇用、家計、食糧安全、生態系、経済成長等に大きな役割を果たしていることを再確認。そのうえで、そうした海洋エコシステムが、海洋の温度上昇、酸性化、海面上昇などのほか、不法漁業(IUU)、過剰漁獲、廃プラスチック汚染等にさらされているとの認識を共有した。

 

 そこで、関係大臣は廃プラスチック汚染を食い止めるため、プラスチック製品の管理責任をライフサイクルアプローチで捉える必要で一致。複数の国が「海洋プラスチック憲章」を提唱、G20での取り組みについても評価した。ただ、G7では、すべての国が同憲章に合意しなかった(日本と米国が反対)ため、憲章の合意には至らなかった。

 

harifax2キャプチャ

 

 代わりに、研究と技術革新を、優先的に対応すべき重要課題と位置づけ、「海洋プラスチックごみ問題を解決するためのG7イノベーション・チャレンジ」と名付けた取り組みをスタートさせることで合意した。カナダは同プロジェクトに2000万㌦を拠出することを約束した。多くの国は使い捨てプラスチック問題の解決を求めるとともに、効果的な廃棄物管理システムの強化を求めた。

 

  G7での「憲章」の採択は今回も見送られたが、ビジネスレベルでの憲章の趣旨を踏まえた取り組みは拡大している。ユニリーバーが、消費段階、ビジネスレベルでの廃プラスチック削減のための非営利団体を立ち上げるとともに、憲章への支援を表明したのをはじめ、ウォルマート、ネッスル、IKEA、ダウ・ケミカル、コカ・コーラ、BASF、ロブロウ(カナダのスーパーマーケット)などが憲章支援を宣言している。残念ながら、日本企業はまだ手を挙げていない。

 

廃プラスチックは土中でも分解しない
廃プラスチックは土中でも分解しない

 

 合意文書では、廃プラスチックを削減するためには、政府だけでなく、ビジネス、市民社会、女性、子供から青少年まで、あらゆる層による協力が必要だという認識を強調した。国連環境計画(UNEP)や世界経済フォーラム(WEF)、OECDなどの官民国際機関の取り組みと、ビジネス・市民レベルの取り組みを連携させる必要性も強調した。

 https://g7.gc.ca/en/g7-presidency/themes/working-together-climate-change-oceans-clean-energy/g7-ministerial-meeting/joint-chairs-summary/