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世界の湿地、1970年以降で、35%が消滅。森林破壊のスピードを上回る減少率。中南米は半分以上に縮小。世界的な生態系危機に(各紙)

2018-09-27 17:57:22

Vietnumキャプチャ

 

 各紙によると、国際的に貴重で、生物多様性に富む生態系の一つである湿地が、都市化や農地化の影響で、危機的速さで消滅していることがわかった。湿地の保全を目的としたラムサール条約事務局が発表した報告書によると、1970~2015年の約半世紀に世界の湿地の35%が消滅し、森林減少の3倍のスピードで消滅が進み、2000年から一層加速しているという。

 

 (写真は、ラムサール条約に指定されているベトナムのコンダオ国立公園)

 

 ラムサール条約事務局による世界の湿地の現状に関する包括的な報告書の公表は初めて。マーサ・ロハス・ウレゴ(Martha Rojas Urrego)事務局長は「生態系にとって、重要な湿地が危機に瀕している。各国政府や関係機関が協力して、湿地の保護に乗り出す必要がある」と強調している。

 

  報告書によると、世界には1210万k㎡に及ぶ湿地がある。湿地には、湖や川、沼地、泥炭地に加え、ラグーン(潟)やマングローブ、サンゴ礁などの沿岸地帯や海洋区域も含まれる。

 

 その32%はアジア地域に点在し最も多い。次いで、北米が27%、中南米16%などとなっている。このうち、1970~2015年に消滅した湿地は全体の35%に達した。そのうち中南米が最も多く、実に半分以上の59%。次がアフリカで42%、欧州も35%が失われた。一方で水田など人工の湿地が増加し、全体の12%を占める。

 

 約2300に上る条約の登録湿地の個別状況は公表していないが、事務局は「日本は湿地の重要性が理解され、保全が行き届いている例外的な国の一つだ」と評価している。日本では釧路湿原(北海道)や慶良間諸島海域(沖縄県)など50カ所が登録されている。

 

 湿地は、世界で消費される真水のほぼすべてを直接的あるいは間接的に供給しており、また、動植物の種全体の40%以上は湿地で生息したり繁殖したりしている。湿地減少に伴い、湿地に生息する魚、水鳥など1万8000以上の種の4分の1が絶滅の危機にあるという。湿地の消滅速度は2000年以降加速している。

 

 報告書は、国を挙げての持続可能な保全計画など、湿地を有効的に管理するためのさらなる努力の必要性を強調している。

 

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180927&ng=DGKKZO35808630X20C18A9CR0000

http://www.afpbb.com/articles/-/3191165?cx_part=top_category&cx_position=1