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中国が「人工の月」を2020年までに打ち上げへ。太陽光の光を反射させ、地上の照明電力を軽減。四川省成都市が計画。本気みたい(RIEF)

2018-10-20 21:00:30

Chinadaily1キャプチャ

 

   中国が2020年までに、「人工の月」となる照明用人工衛星を打ち上げる計画をしていることがわかった。「月」は太陽光を反射して地上に投影し、夜間には街灯に代わって周辺部を照らし、電気代を削減するという。成功すればさらに2022年までにさらに3つの「月」を打ち上げるとしており、「人工の月」は4つも並ぶことになる。何でもありの、中国、白髪三千丈の話のようだが・・・。

 

 まんざら、でっち上げでもないところが、同情報が国営メディアのチャイナ・デーリー(China Daily)の報道である点だ。南西部の四川(Sinchuan)省成都(Chengdu)市のNew Area Science Societyの代表、Wu Chunfeng氏が同紙に語ったという。

 

 打ち上げ予定の「照明衛星」は、表面をコーティングされており、宇宙空間で太陽光の光を効率的に捉えて、地上に反射する。その結果、その反射光の明かりは本物よりも8倍も明るいという。

 

Chinadaily2キャプチャ

 

 衛星は地上から500kmの軌道上に静止されるという。本物の月は地球から38万kmの距離にあるので、地球にははるかに近い。この点も、反射光の光が月よりも8倍も高まる理由の一つという。

 

 ただ、夜間で月の灯りの8倍というのは、夜空全体を照らすには十分ではない。その明るさは人間の目には、通常の街灯の5分の1程度という。衛星なので照らす地域や場所については調整可能で、対象地域をカバーする正確性は、数十mの誤差で済むという。

 

 Wu氏は、もし「人工月」が50k㎡の面積を照らし続けることができれば、地上の街灯等の照明を減らすことができるので、年間12億人民元(約200億円)の電気代を節約できると主張している。また、自然災害の際に停電が発生した場合、同衛星から被災地域に対して照明を送り、救助活動等をサポートする役割も期待できる、という。

 

 太陽光を反射する鏡は光度によって調整可能で、必要に応じて完全に光を遮断することもできるという。ただ、曇り空の日には、わずかな光が地上に投影されるようだ。

 

 Wu氏は「最初の『月』は実験的なものになるが、2022年に予定される『3つの月』は、市民社会と商業的目的のために活用できるだろう」と述べている。ただ、「月」と言っても、地上からは現実の月ほどの大きさに見えるわけではない。Wu氏は「明るい星、といった感じ」と説明している。

 

 しかし、夜間に街灯がいらないほどの明るさが衛星から常時届くとなると、人間の体調や生態系への影響が懸念される。睡眠障害なども起きないのか。この点についてWu氏は「最初の衛星で照らす実験は、人の住んでいない砂漠地帯とし、影響評価等をじっくり行う」と説明している。

 

 これまでにもこうした計画がなかったわけでもないようだ。1999年にはロシアが直径25mの「宇宙鏡」を打ち上げ、 太陽光の光を地上の都市に届ける「Banner」計画を実行しようとしたことがある。しかし、打ち上げ時に「宇宙鏡」が焼失してしまい、プロジェクトはその後、立ち消えになったという。

http://www.chinadaily.com.cn/a/201810/19/WS5bc922f3a310eff303283431.html