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英国、リサイクル素材を含まないプラスチック容器等に課税。2022年から。使い捨てコーヒーカップへの「ラテ課税」は見送り方針(RIEF)

2018-10-31 12:50:16

UK1キャプチャ

 

   英国のフィリップ・ハモンド蔵相は、2019年度予算案でプラスチックゴミ対策を盛り込んだ。環境団体等から強い要請が出ているプラスチック製品への課税について、少なくとも30%以上のリサイクル素材を含まないプラ容器に対して、2022年4月から課税するとする一方、使い捨てのコーヒーカップへの課税「ラテ課税」については明言しなかった。

 

 (写真は、プラスチック対策を含めて2019年度予算案を説明するハモンド英蔵相)

 

 また、ゴミの不法投棄を撲滅するために、1000万ポンド(約14億4000万円)のファンドを設けるほか、別途、プラスチック素別途、材のリサイクル促進のための研究開発と、ゴミ削減のための革新的アプローチを促すために、それぞれ1000万ポンドのファンドを立ち上げることも公約した。

 

 環境団体などからは、今回の蔵相の方針に対して、不満が漏れている。2022年からの課税対象は、プラスチック製の食品包装や、トレイなどが対象になるとみられる。ただ、コーヒーショップ等で使用される使い捨てカップ(英国人が好むカフェラテにちなんで「ラテ課税」と呼ばれる)については、課税対象から除外する方針を示した。

 

 今年1月、英議会の環境監査委員会は、すべてのホット飲料用の使い捨てプラスチックに対して、25ペンス(約36円)の標準課税案を提唱していた。しかし、ハモンド蔵相は「こうした課税額では消費行動を決定的に変える(プラカップを使用しない)ことは難しい。企業の対応がカギだ」として、「ラテ課税」に反対の姿勢を示してきたという。

 

 蔵相は、「ラテ課税」を実施すると飲料価格の上昇につながり、現在でも売り上げ難に直面している街の小売事業者の経営を悪化させ、と指摘してきた。今回の課税案は一応、プラスチック製品の使用制限を目指すが、課税時期を2019年度ではなく22年度に先送りしたことと、課税範囲を限定方針を示することで、経済活動への配慮も盛り込んだ形だ。

 

 こうした政府の対応に対して、環境団体の英国グリーンピース代表の John Sauven氏は「われわれは今まさに、プラスチック危機のど真ん中にいる。しかし、蔵相は『ラテ課税』を見送ることで、使い捨てプラスチックの流出を抑える小さな一歩を踏み出すことにさえ、失敗している」と批判している。

 

 日本でも環境省が有料レジ袋の義務化の検討に乗り出した。だが、レジ袋有料化だけでは、使い捨てカップなどを含めたプラスチック製品全体の減少につながるとは思えない。現在のグローバル規模でのプラ汚染問題の解決のためには、抜本的なプラスチックゴミ縮減策の実施が各国で求められている。