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栗田工業、工場の排水を再生処理、「再生水」として再利用するシステム開発。顧客の工場内に同社システムを丸ごと設置。水使用効率化と水道料金削減に効果。グローバル市場での需要も(RIEF)

2018-11-08 08:02:00

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 栗田工業(東京都中野区)は5日、水資源を有効活用するため、企業の工場で発生する多様な排水を回収し、製造工程等で再利用可能な水質にまで浄化した「再生水」として供給する新たなサービス「標準型排水回収システム:CORR®システム」を開始した。

 

 同サービスは、同社が新開発した新システムを、顧客企業の敷地に設置し、運転管理からメンテナンスまでの全てを同社が請け負う。すでに展開している同社の純水供給サービス「KWSS®」と組み合せて、純水の供給から排水の回収と再利用まで、工場全体の水処理プロセスのトータルコスト削減にも寄与できる。

 

 日本では水質汚濁防止法による排水規制が厳しいことから、工場の排水は、周辺環境に影響を与えない水質にまで処理・改善され、現在は、下水道や河川に放流される。新システムは、このある程度浄化された工場排水を、さらに浄化率を高め、「再生水」として再利用する。

 

 その結果、企業・工場は水使用量を削減できるほか、上下水道料金の削減などの経済効果を得ることができる。国全体では水資源の安定利用につながる。また海外でも、人口の増加や都市化、工業化の進展などにより、成長の著しい新興国などで水不足が深刻化していることから、今回の排水の再利用システムへのニーズは高いとみられる。

 

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 新システムは同社がこれまで培ってきた排水回収技術や運転管理ノウハウを使い、それに水処理薬品・装置、双方の技術を最適化させて組み合わせた。その結果、前処理装置+脱塩装置から成るシンプルな構造を実現した。

 

 同システムは、各企業・工場の水使用状況に個別に適合する形で対応でき、工場側が求める水量、水質の「再生水」を提供する。栗田はその供給水量に応じた料金を徴収するとともに、IT・センシング技術を活用した遠隔監視で、消耗品の洗浄・交換時期を事前予測した運転管理とメンテナンスを実施してコストダウンを図る。

 

 企業・工場にとっては、自前で設備を購入する必要がなく(初期投資が不要)、運転管理・メインテナンス労務も不要となる。請け負う栗田への支払いを費用計上する形となる。

 

 栗田は今年4月からの中期経営計画「MVP-22(Maximize Value Proposition 2022)」で、「水資源問題の解決」「持続可能なエネルギー利用の実現」「廃棄物の削減」「産業の生産技術進歩」を重点的に取り組むべき社会的課題と位置づけ、社会との共通価値の創造に注力している。

 


 特に、地球規模での水資源問題の解決に向け、今回始めた「再生水供給サービス」をあらゆる地域、業種の顧客に適用することで、「水の回収・再利用」による価値をグローバルに提供していく、としている。

 

http://www.kurita.co.jp/aboutus/press181105.html