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太平洋、大西洋、地中海の3海域で死んだウミガメ102件、すべての体内からプラスチックごみ検出。英大学チームなどが調査。人類の想定以上に生態系に大きな負荷(RIEF)

2018-12-09 14:57:25

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   太平洋、大西洋、地中海の3海域で死んだ状態で発見された102件のウミガメを調べたところ、すべてのウミガメの内臓から廃プラスチックが検出された。英大学等が生物学会誌で発表した。廃プラスチック汚染が世界的に広がり、生態系に深刻な影響を与えていることを示している。

 

 調査を実施したのは、英エクスター大学とプリマス海洋研究所、グリーンピース調査研究所など。調査地点は、大西洋は米国のNorth Carolina、太平洋はオーストラリアの Queensland、地中海はNorthern Cyprus 。

 

 死亡したウミガメを解剖して調べたところ、すべての検体の内臓から、マイクロプラスチックを含め、長さ5mm以下のプラスチック合成物質(synthetic particles )を検出した。検出された合成物質の多くはファイバー状で、衣服やタイヤ、シガレットフィルター、漁具の一部などが微細化したものと想定される。

 

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 調査に当たったエクセター大学の生態系保全センターのEmily Duncan 教授は「これらのプラスチック物質がウミガメにどのような影響を与えたかは現時点ではわからない」としながらも、これらの物質が汚染菌や、ウィルス、バクテリア等を抱え込んでいることが考えられるので、ウミガメ体内での細胞や小細胞にどのような影響を及ぼしているかを今後詳細に調査する必要がある」と指摘している。

 

 調査したウミガメから合計800個以上のプラスチック物質を検出した。ただ、詳細な調査はこのうち20検体しか実施しておらず、今後、調査を進めるとおそらく体内に取り込まれたプラスチック物質量は約20倍の数になるとみられている。

 

 今回の調査は地域比較を目的としたものではないが、もっともプラスチック物質が多かったのが地中海で見つかったウミガメだったという。ウミガメがプラスチック類を食べてしまう経路は、汚染された海水あるいは海底の泥のほか、直接、ウミガメが食べる餌や海藻などを通じて体内に入ったとみられる。

 

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 プリマス海洋研究所のPenelope Lindeque教授は「調査は成功した。しかし、調査したすべてのウミガメからマイクロプラスチックを発見したことは、『成功』という気がしない。残念なことだ。これまでの他の調査でもほぼすべての海洋生物から、マイクロプラスチックを発見している」と懸念を表明している。

 

  現在、世界の海に流れ込むプラスチックごみは年間で480万~1270万㌧に上り、海上に漂うプラスチック片は5兆個に達しているとされる。

 

https://www.exeter.ac.uk/news/featurednews/title_695428_en.html

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/gcb.14519